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しっかりした高い目標を掲げれば実現への道はやがて拓ける国立天文台 教授 家 正則

天文学は総合科学 いろんな人材が必要です

聞き手:最後に天文・光学分野の若手技術者や学生などに向けて面白さやメッセージをお願いします。
:そうですね,この分野に入ってこられる方は,特に面白いと思って入ってこられる方が多いと思いますが,天文学にはいろいろな関わり方があるのです。
 例えば理論研究でも,紙の上で宇宙の理屈を考えるような研究から,コンピューターを使ってシミュレーションをする研究があります。それから実際に望遠鏡で観測した宇宙のデータを解析する観測研究。さらには,望遠鏡そのものや観測装置を作る技術開発研究もあります。また研究成果を分かりやすく一般の人や教育現場に伝える広報普及活動も重要ですので,いろんな適性に合わせたスタイルで関わることができます。
第一期1583名のTMT寄付者の名前を刻んだ募金銘板のハワイ観測所でのお披露目式典(右は有本信雄ハワイ観測所長)

第一期1583名のTMT寄付者の名前を刻んだ募金銘板のハワイ観測所でのお披露目式典
(右は有本信雄ハワイ観測所長)

 その中で,大型国際プロジェクトをマネージする人材は,なかなか育てる機会がありませんが,国立天文台では近年プロジェクトが大型化/国際化してきていて,さまざまな苦労の経験から,人材が育ってきているように感じています。このような人材を持つことは国際プロジェクトでのリーダーシップを取る上で重要です。これまでと違って,大学育ちの教員や技官/事務官に加えて,企業経験者にも職員として参加してもらえるように組織を改革してきました。海外では分野を問わず,大型プロジェクトを渡り歩く人材がいます。国立天文台からも将来,天文学以外の分野の大型プロジェクトに転出する人材が出るかもしれません。
 ただ,大型プロジェクトは10年とか長い時間がかかりますので,既に職を持っている立場なら,自分の研究者人生を賭けるという決心ができますが,これから就職をしなきゃいけないという若手の大学院生とか,ポスドクの立場の人は,もっと短期的な成果を上げないと自分のプレゼンスが示せなくて就職の道もあまり見えてこないというリスクがあります。だから,プロジェクトを面白いと思っている若手は多いと思うのですが,参加を勧めきれないところがあります。これは研究者の雇用制度・評価制度にも関わってくることです。国立天文台でも,評価を研究論文だけでなく,多軸化する工夫をしています。
家 正則(いえ・まさのり)

家 正則(いえ・まさのり)

1949年札幌市生まれ 1972年東京大学理学部天文学科卒業 1977年東京大学理学系大学院博士課程修了 1977年日本学術振興会奨励研究員 1977年東京大学理学部天文学科助手 1981年東京大学東京天文台助手 1986年東京大学東京天文台助教授 1988年国立天文台助教授 1992?国立天文台教授 この間,日本天文学会副理事長,総合研究大学院大学数物科学研究科長,国際天文連合日本理事,日本学術振興会学術システム研究センター数物系科学主任研究員,国際光工学会シンポジウム組織委員長などを歴任
●分野
銀河物理学,観測天文学
●主な受賞歴等
2013年日本学士院賞 2011年紫綬褒章 2011年東レ科学技術賞 2010年文部科学大臣表彰 2010年研究部門 2008年仁科記念賞 2006年日本光学会 2006年度光設計特別賞 2003年第44回平成15年度科学技術映像祭文部科学大臣賞(科学技術部門) 2002年第13回ハイテクビデオコンクール2002年度最優秀作品賞

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