【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

“汽水”には面白そうなテーマが集まる電気通信大学 教授 武田 光夫

インタビューは苦手です

聞き手:学会関連でもご活躍されたと聞きますが,おかかわりはどのようなものだったのでしょうか?

武田:学会活動としては,課せられた役は逃げずに一応はやってきたつもりです。しかし,マネージメントはあまり得意ではありません。人の上に立ってリーダーとして何かやるのではなく,例えて言えば監督よりは選手の役が好きなタイプですね。職場でも同じような状況で,職務上,学科長なども勤めましたが,「長」の付くような役どころはあまり好きではありません。

聞き手:日本光学会の幹事長などを歴任されて,多くの成果とともに相当なお時間も使われたと思いますが。

武田:確かに引き受けた以上は責任を感じ,多くの時間をそのために使いました。自分で言うのも変ですが,わたしは比較的まじめに誠実に取り組んできたと思っています。しかし,非常に不器用で,マルチタスクを上手にこなせる人間ではありません。一つ仕事を引き受けてしまうと,その期間中だけは周りに迷惑をかけないように一生懸命やろうとするので,本人も疲れるし,サポートしてくださる周囲の方をも疲れさせて,ご迷惑をおかけしてしまっているのかもしれません。この3月で日本光学会の幹事長の任期が終わりますので,ようやくホッとできるのではないかと思います。

聞き手: お気持ちがよく分かるような気がします。

武田:どうも,自分の良くない性格の告白話のようになってしまってすみません。今日はかなりがんばってインタビューにお答えしていますが,実はこういうインタビューなどで雑誌に掲載されるのは苦手です(笑)。特に困るのは,読者のために“成功談”を語ることが期待されているようなインタビューです。自分では「それほど成功していないのに……」,「まだマズいところだらけなのに……」との思いが常にあるので,それを正直に話せないと苦しくなり,途中で逃げ出したくなるからです。まさか,このインタビューではそのような“成功談願望”の心配はないのでしょうね(笑)。
武田 光夫(たけだ・みつお)

武田 光夫(たけだ・みつお)

1969年,電気通信大学 電気通信学部電波工学科卒業。1971年,東京大学 大学院工学系研究科物理工学専門課程修士課程修了,1974年,同博士課程修了(工学博士)。同年,日本学術振興会 奨励研究員。1975年,キヤノン(株)に入社し中央研究所と本社光学部に配属。1977年,電気通信大学電気通信学部講師。1980年,同助教授。1985年,当時の文部省長期在学研究員として米国スタンフォード大学 情報システム研究所客員研究員。1990年,電気通信学部教授に昇任。現在,大学院情報理工学研究科教授。専門分野は応用光学と情報光工学。現在の研究課題は,光応用計測や光情報処理,結像光学と画像処理など。応用物理学会理事や評議員,日本光学会幹事長,SPIE理事などを歴任。SPIE Dennis Gabor Awardや応用物理学会量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)など多数受賞。OSA Fellow, SPIE Fellow, 応用物理学会Fellow。

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