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第3回 「物体指紋」で画像技術界をバズらせた石山塁博士―モノのタグなし認証技術―

4.サステナブル力とむすび


 「物体指紋」技術が精密工学会技術賞に選定された出来事が,サステナビリティを保証するパワーの源であるような気がする。同じ意味で,下記のようないくつかの 学術的な裏づけに注目しているところである。

・基調講演ViEW2018 再考! 最高!! 画像処理!!! ViEW30周年記念/石山塁 氏(NEC):モノにも“指紋”がある
 ~「物体指紋」を用いた個体識別と認証,OS1-K1 基調講演1,2018年12月6日(木)
・2019年度~ 画像応用技術専門委員会(IAIP)運営委員会委員に就任
・2022年9月~2024年8月SSII 組織委員に就任

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 「物体指紋」技術のコンセプトは哲学的な香りが漂っていた。このメロンも,このコンロッドも古今東西唯一無二だとする哲学は,自然であって無理がない。しかる に,このメロン自身のなかに個体認証の源泉を求める発想も,自然であって無理がない。かくして「物体指紋」という個体認証コンセプトは,常識を不意打ちした突破 力を放つことになった。
 本稿は,そんな「物体指紋」を提唱した石山塁さんにエールを送らせていただいた。このコンセプトへのポテンシャルに今もってざわつきが止まないし,いくつかの実用の兆しにも耳目が集まっている。
 私見であるが,「物体指紋」技術にはまだまだ未踏な課題や楽しみな試練も控えていると改めてリマインドしておきたい。

その1 /ランドマーク
 物体はメロンのような自然物もあれば鋳造品のような人工物もある。母型でつくられる人工物にはランドマークがあるが,自然物ではどこがランドマークなのか?それに気づける技術を開発するか,もしくは物体の全周画像を黙って取得する技術を実装するか,面白そうな技術克服に向けての一撃的技術開発は必須である。

その2 /データサイエンス
 物体の自然な変形が隣接する物体個体差を超えてしまわないか? クラス内分散とクラス間距離のせめぎ合いに対峙しなければならない。まさしくこここそが,物体 指紋画像デザインにまつわるデータサイエンス,数理統計,機械学習,パターン認識の主戦場である。

その3 /現場カスタマイズ
物体指紋は画像を介する非整備環境下の個体認証である。よって,カメラも解像度も照明の組み合わせ的カスタマイズは,応用の現場では一筋縄ではいかない。

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 寄せられるであろう夥しいオファーの一つひとつの期待に応えて,ぜひとも成功事例による灯ともしびを掲げてほしい。そうしたら,色とりどりな「物流」に黙ってついてくるデジタル「物体指紋」流は,そのサプライチェーン現場からタグや伝票を一掃するかもしれない。この夢を筆者も陰ながら抱きつつ,石山さんと石寺さんはじめお仲間に再度,エールをお送り申し上げたい。

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