【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

うまくいかない研究・開発もそこから学べるため失敗ではないアリゾナ大学 光科学部 眼科光学科 教授 John E. Greivenkamp

今後も広がる光学技術者が活躍できる可能性

聞き手:これから光学分野での前途を目指す若手研究者・技術者,学生に向けてメッセージをお願いします。 Greivenkamp:光学技術者になることは,大変素晴らしいことです。なぜなら,光学の面白さを追究することができ,ひいては皆さん次第で光学技術を利用して“新たな何か”を創出することできるからです。すでに世の中に出回っているプロダクトには,光学技術が利用,または応用されているものは少なくありません。こうした現状の中,光学技術者としてのキャリアを歩むことになれば,恐らくさまざまな開発プロジェクトや製品開発に携わることができると思われます。こうした経験を積み重ねていくことで,知識や技術を習得することができ,自身の成長へと結実していくことになるでしょう。
 とはいえ,光学技術者の数は,機械技術者や電気技術者に比べると,それほど多くはありません。しかしながら,光学技術分野は小規模のコミュニティーであることから,キーマンとなる重要な人物と比較的容易に知り合いになれるメリットがあります。米国であればOSA(Optical Society of America;米国光学会),国際光工学会(SPIE),日本であれば日本光学会などの学会に参加し,そこで活躍する可能性が高いことも小規模コミュニティーのメリットといえるでしょう。
 アリゾナ大学では,光学技術分野でのコミュニティーにおいて重要な役割を担うべく,米国にとどまらず,世界の光学分野に貢献したいと考えています。その一環として,「光学設計&測定ショートコースプログラム」を企画し日本で開催しています。このショートコースプログラムは,宇都宮大学との共同により,光科学部の教授陣に加え,宇都宮大学オプティクス教育研究センターの教授陣が講義を担い,物理光学と幾何光学の2コースを設けています。昨年(2012年)11月に開催した際は大変盛況ではありましたが,その半面,ショートコースの限界として時間の制約を痛感することにもなりました。
 こうした問題を解消する方法の1つとして薦めているのが,日本に居ながらにしてWebベースでアリゾナ大学光科学部の光学に関する講義を受けられる通信教育プログラム「ディスタンスラーニング」です。ディスタンスラーニングは,セメスター(2学期)制ごとに授業が系統的に編成されたプログラムであり,必要とする講義を選択し受けることが可能です。また,専用ビデオやインターネットを通じて受講し,課題や試験を提出することで採点を受ける仕組みにより,通学する学生と同様に科目単位を取得することも可能です。さらに,実際にマスター(修士)の学位を取得することも可能であり,学位取得に至らなくても,修了証書を発行しお渡ししています。
 これから光学分野で学ぶことを考えている日本の若い方の中で,アリゾナ大学のカリキュラムで学びたい,講義を受けたいと望む方は,ディスタンスラーニングで学ぶことをお薦めします。このように通学の学生との差異がないところが,ディスタンスラーニングの特長といえるでしょう。
 光学技術については,さまざまなプロダクト,ひいては産業に応用できる特性により,非常に汎用性があるため,今後もますます注目される技術分野になることでしょう。
John E. Greivenkamp(ジョン・E・グリービンキャンプ)

John E. Greivenkamp(ジョン・E・グリービンキャンプ)

1953年米国オハイオ州シンシナティ生まれ。1976年トマス・モア大学文学士号修了。1979年アリゾナ大学修士課程修了。1980年アリゾナ大学オプティカルサイエンスセンター(現カレッジオブオプティカルサイエンス)博士課程修了。1980年イーストマン・コダック社研究科学者。1982年イーストマン・コダック社シニア研究科学者。1987年イーストマン・コダック社,コダック・リサーチ・ラボラトリーズ助手。1992年アリゾナ大学オプティカルサイエンスセンター,および眼科光学准教授就任。1997年アリゾナ大学オプティカルサイエンスセンター(現カレッジオブオプティカルサイエンス),および眼科光学教授就任。
●専門のご研究内容:光学干渉測定法,光学試験,光学加工,眼科光学,光学測定システム,光学システム設計,電子撮影システム工学などを研究
●1999?2000年SPIE(The International Society for Optical Engineering and of the Optical Society of America;国際光工学会)実行委員会メンバー。2001?2003年国際光学委員会の米国諮問委員会メンバー。2002年OSA(The Optical Society;)科学技術評議会議長。2002?2003年SPIE教育委員会委員長。1994年APOMA (American Precision Optics Manufacturers Association;米国精密工学会)メンバー。1995年OSAフェロー。1996年SPIEフェロー
●2007年著書「SPIEフィールドガイド幾何光学」,2008年編集「SPIEフィールドガイド 大気光学」,2010年編集「SPIEフィールドガイド 視覚と眼の光学」(すべてオプトロニクス社より発刊)

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