第20回 台湾交流録 part 6 ホログラフィー講座の拡がり
屏東観光
台日会議の最終日のエクスカーションに屏東観光が企画され参加した。バスに揺られ数時間,山深い渓谷を幾つか超えてたどり着いた場所は,原住民の村であった。人々は普通に暮らし,村全体が観光地となっていた(図7(a))。台湾には16族の原住民がいるという。それぞれの族の言語や文化は国で大切に保護されていると同時に,観光で経済を成り立たせている側面もある。バスで少し移動すると別の原住民地区に着き,フルコースの原住民料理のランチを食した。肉も魚も野菜もふんだんに使い,味はいわゆる台湾料理よりもさらに淡泊で,どこか日本料理に通じる印象を受けたのが面白かった。また,観光スポットに村と村をつなぐ全長263 mの山川瑠璃吊橋を渡った(図7(b))。同時に100人までは渡ってよいそうだ。吊橋の真ん中にところどころ透明なガラスがはめ込まれており,覗くとはるか下に川の流れがみえる。高所恐怖症の人でなくとも目がクラクラしてくる高さだ。この山深い地への観光は台湾の自然の豊さと広さをあらためて知る機会となった。
ホログラフィーの新しい芽
この年の暮れ,台南キャンパスで,HODIC in Taiwan 5が開催されることになり,再び台南を訪れる機会が巡ってきた。ブルガリアからの研究者の参加もあり,講演会と併設して催された展示会には交通大学のほか,日本,ブルガリア,崑山科技大学からのホログラムが並び,充実した交流の場となった。図8(a),(b)は展示会場風景である。私もホログラム数点を手荷物で持って行った。図9はCGアニメーション・プリントホログラムである。画像は上下左右の視点の移動に連れてダイヤモンドが転がる。レーザー再生タイプ,サイズ:10 cm×15 cm,デザイン:筆者,CG:五十嵐俊亮(東工大山口雅浩研究室),プリントホログラム製作:松島恭二(関西大学)。
HODIC開催から半年もたたない翌年4月,Dr. Lanからメールが届いた。7月に台南キャンパスで,ホログラフィーサマーコースに招待したいが都合はどうかという内容だった。単位を与える講座として実験と講義をあわせた全18時間のコースだと言う。台湾からの講義の問い合わせはいつも急で,開催の数か月前である。そのため年間計画の予定が立たないが,前の年に一連のプロジェクトが一段落した後なので,当分の間,台南に出かける機会もあるまいと思っていたので,台南でDr. Lanが新たにホログラフィーのサマーコースを開催すると聞いて,予想外だったのでびっくりした。しかし,うれしい驚きであった。なんと言っても大好物の果物が満喫できる。国外に出ることは何より素晴らしい気分転換である。 <次ページへ続く>