【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

ベンチャーで成功するには,どこに用途があり,誰が買うのか分かっている必要があります。東京大学 物性研究所 渡部 俊太郎

ハイエナジーレーザーと高次高調波

 電総研には6年間いたわけですが,そのうちの1年はカナダのNRC(National Research Council)にいました。その後は東大の物性研究所に移り,核融合とは異なる用途のハイパワーエキシマレーザー開発のプロジェクトにたずさわりました(図1)。

図1 コマツ(一部ギガフォント)と
共同開発したエキシマレーザー。

 このプロジェクトは,エキシマレーザーを使い,出力がテラワット級の超短パルスレーザーを開発しようとするもので,1998年に4TWの出力を記録しています。
 エキシマレーザーには,2タイプがあり,露光装置用のように4kHzといった超高繰り返しで発振するものと,液晶アニーリング装置用のように,それほど繰り返しは必要はないけれども,ワンショットあたりのピーク出力が高いタイプがあります。
 われわれは,このワンショットあたりのエネルギーが高いハイエナジーレーザーを使って,1980年代後半から高次高調波の研究を始めました。
 高次高調波というのは,高ピーク出力レーザーをガスのなかに絞って出すことで発生するもので,その波長の1/奇数の光が出てきます。音楽に例えると,1オクターブ高い倍音が出ることになります。現在,高次高調波は数100次まで出すことができますが,当時はそこまで出せず,1989年に25次で9.9nmの波長を出し,世界最高を記録しました。

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