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国民を喜ばせ,国民に夢を与えたというのが一番の褒め言葉国立天文台 台長 林正彦

グローバリゼーションを果たして次の望遠鏡を考えてもらいたい

:光学はオプティクスですが電波も電磁波で光学ですし,天文学はX線望遠鏡などでX線も扱います。国立天文台にはニコンやキヤノンのステッパーもあって,半導体素子も作っているのです。あらゆる光学,それこそビジブルライトだけではなく電波からX線まで扱っています。もちろん観測もしていますが,観測だけでなくテクノロジーを使って新しい装置や望遠鏡も作っています。最先端の素晴らしいアイデアやデバイスは,新しい光学的な分野,あるいは新しい時代を拓いていく基本中の基本で,非常に重要な分野だと思います。ステッパーの技術やテラヘルツ帯のサブミリ波の技術など光学には面白いところがたくさんあり,それは必ず天文学に関係して,その技術を使わせていただいているわけですから,若手の人たちはそういう面白いところを何か見つけて進んでいってもらえればと思います。
 教員はみんな頑張っていると思いますが,1つ言うべきことがあるとすれば,やはりグローバリゼーションです。現在日本はTMT計画を推進しています。もちろん日本1国だけではなく国際協力によるものです。すばるのように,日本1国で世界最先端の望遠鏡を作ることはもう時代に合わないし,できません。
 実は今,東アジアの国々,韓国・台湾・中国で大きい望遠鏡を一緒に作っていこうという話を始めています。日本・中国・韓国・台湾を併せると,実は名目GDPで20兆ドルぐらいになり,なんとか欧州全体やアメリカに匹敵するレベルになります。ヨーロッパにはヨーロッパ南天文台というすごい天文台がありますし,アメリカはまだわれこそ世界一と思って進んでいます。
 日本の天文学は,今後,まずアジアの中で国境がないような国際化を果たして,ある時にはヨーロッパやアメリカと一緒に,場合によっては東南アジアやインドも含めて将来大きな望遠鏡を作るべきだと思います。その望遠鏡が何になるかは,これからみんなで考えていくわけです。TMTの次,アルマの次などを一緒に考えてもらいたいと思います。
 昨今,政府ではプライマリーバランスの黒字化の目標もあって,なかなか予算が厳しい状況です。ヨーロッパにとって,科学は基礎を越して文化になりましたが,日本では科学はまだ文化になりきっておらず,将来に向けて非常に重要なところです。科学は知の源泉であり,日本の発展の基本中の基本ですから,なんとかプライマリーバランスを好転させながら科学予算を増加させてほしいというのが,財務省へのお願いです。
 国民のみなさんに,国立天文台のすばる・アルマ・TMTを本当に喜んでいただき,応援もしていただき大変ありがたいと思っています。これからも,ぜひ応援していただきたいと思います。アルマは,ついこの前までは「なぜこんなピンボケの絵ばかり出すの」と言われていました。しかし,去年の原始惑星系円盤の絵あたりから「こんな絵が出るのか!」という驚くべきものが出てきました。これからもどんどん出てきますのでご期待ください。
林 正彦(はやし・まさひこ)

林 正彦(はやし・まさひこ)

1959年:岐阜県生まれ
1986年:東京大学大学院理学系研究科博士課程終了,理学博士
1986年:日本学術振興会特別研究員
1987年:東京大学助手
1994年:国立天文台助教授
1998年:国立天文台教授
2010年:東京大学大学院理学系研究科教授
2012年:国立天文台台長
●研究分野
電波天文学,赤外線天文学

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