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第19回 台湾交流録 part 5  建築空間へ

ここにも…台南キャンパス


 交通大学台南キャンパスは高鐵の台南駅から徒歩で12~13分の距離にある(図9(a))。スイカ畑に隣接したキャンパスの敷地は台南サイエンスパーク予定区画に隣接し,2009年スタートしたキャンパスは産学協同研究を中心に運営されているようだ。図9(b)の正面の建物は台湾の液晶ディスプレイの大手企業,奇美(Chimei)の名を冠した研究棟である。私の講義の担当者はDr. Lanで,交通大学のProf. Ken Hsuの教え子でありDr. Hsiehと同期生と聞いた。実は,彼女とはずいぶん以前から面識もあって,気が楽であった。このキャンパスはいまだ建設途中で,広い敷地にはまだごく一部にしか施設が建っていない。Prof. Ken Hsuはこの光電学院(College of Photonics)の院長として発足当初から力を注いできたと伺った。庭の鳳凰木(図9(c))はProf. Ken Hsuたちが自ら植樹したと聞いた。10年を経て成長し情熱的な花を咲かせていた。
 研究棟の中をいろいろ案内されているうちに,あれ?と,あることに気が付いた。建物の広い空間にいるとき,この場所はホログラムにどうでしょう?と,いろいろな場所で尋ねられるのである。Prof. Ken Hsuから私の意見を聞くように言われているとDr. Lanが言った。これはProf. Ken Hsuが台南キャンパス光電学院にもホログラムを設置したいと考えているのだなと推察した。ホログラフィーアート作品が研究者や学生たちの目に触れる良い機会でもあるし,交通大学に何度も招待されるにつれて,喜んでもらえるのならホログラムの提供は1点も2点も同じことに思える感覚に,私もなっていた。つまり,台南キャンパスの講義への招待は,ホログラムの設置のための場所候補探しが本命であったようだ。いろいろな候補場所をみたが,“帯に短し襷に長し”の感であった。作品と場所の選定は,帰国後引きつづき打ち合わせていくことにした。窓口はDr. Lanである。

続ホログラフィーアート講座


 1日の休養日をおいて,もう1コマ高雄の昆山科技大学での特別講義を終えて,新竹キャンパスに戻った。ホログラフィー講座はDr. Hsiehが進めていて,結局,私は学生たちの実験結果の採点のみを任されることになっていた。受講生たちは1人1点,ワンステップレインボウを制作し,再生光源にLEDを組み込み一体型で展示できるように完成が求められた。図10は学生たちの作品の一部である。展示に際しては制作コンセプトがパネルにして同時に並べられ,各自の個性的な発想を知ることができて面白かった。その反面なかなか甲乙つけがたく,成績付けには苦労させられた。会場は前回同様大型ホログラムを常設した玄関ホールであった。この年,これらの作品から数点が,毎年11月ころ開催されるHODICの大学ホロ展に出展された。台湾からの参加は2度目であった。 (part 6に続く)

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