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うまくいかない時,どうしていいかわからない時には第三者の意見をよく聞く北海道大学 齊藤 晋聖

通信関係の研究者になりたいと思った高専生時代

聞き手:光学分野に進まれたきっかけをお聞かせください。

齊藤:もともと中学のころから理数系が好きでした。文系の暗記する科目よりは,物理・数学のほうが好きで,興味を持っていました。
 その後,もう少し専門的なことも勉強したいと思い,苫小牧工業高等専門学校に進みました。いろいろな学科がある中で,一番興味を持ちもっと勉強してみたいと思った電気工学科を選択しました。
 高専は普通の高校と同じような科目のほかに,専門的な科目もあり,その1つに通信工学がありました。通信の基礎を取り上げていましたが,その中に標本化定理というものがありました。連続量をとびとびの値でサンプリングして元の信号を再現できるというものですが,なんて素晴らしい技術,方法なのだろうと思い,それ以来通信に興味を持つようになり,いずれは通信関係の研究者になりたいと,漠然と考えるようになりました。
 それで,もう少しさらに知識を深めたいと考えて北海道大学に入りました。
 この時には通信技術の研究者になりたいという思いはありましたが,光通信や無線通信といった具体的なことは考えず,ただ通信に興味があり,さらに勉強したいということで北大に来たという感じでした。
 フーリエ変換を勉強した時には,通信技術に生かされていることを知って「ああ,こんなに世の中に役立っているんだ」と感激し,通信技術がもっと世の中で役立つのだろうなと,勝手に思っていましたね。

一番興味があったのは無線通信

齊藤:北大に入った時に一番興味があったのは無線通信でした。学部の授業の時も無線通信が一番好きで,無線通信の勉強を一番よくやっていました。無線には非常に興味を持っていましたが,三年生になりいざ研究室の配属を決めるという時期になると,無線の研究室と有線というか光通信関係の研究室のどちらを選ぶかで大変悩みました。
 特に無線通信の信号処理に数学を使用する研究も,大変好きだったので迷いました。ただ,これから将来,研究を続ける上でどの分野がいいかなと考え,それから,どの研究室がいいかを考えました。
 その当時,光関連の研究室の教授は,小柴先生という有名な先生でした。私は小柴先生の指導を受けたいと思い光関係の研究室に進むことにしました。
 またそのころは光通信の業界がかなり盛り上がっていました。それでこの先長く研究するのであれば,光通信の研究のほうが将来展望があるようにも思えました。
 あとこれは私が勝手に思っていただけなのですが,光関係の研究者と無線関係の研究者を比べると,無線関係はずっと歴史があり,研究者もたくさんいるように思えました。それに比べて光通信はまだまだ研究者も少ないイメージで,これからどんどん発展していくもので,ここで頑張ってみたいなと考えたこともあります。

研究室の様子 実験室(上)とサーバー室(下)


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齊藤 晋聖

齊藤 晋聖(さいとう・くにまさ)

1997年 北海道大学工学部電子工学科 卒業 1999年 北海道大学大学院工学研究科電子情報工学専攻修士課程 修了 1999年 日本学術振興会特別研究員(DC1) 2001年 北海道大学大学院工学研究科電子情報工学専攻博士後期課程 修了 2001年 北海道大学大学院工学研究科助手 2004年 北海道大学大学院情報科学研究科助手 2005年 北海道大学大学院情報科学研究科助教授 2007年 北海道大学大学院情報科学研究科准教授 2013年 北海道大学大学院情報科学研究科教授
現在に至る
●研究分野
光ファイバー通信,光エレクトロニクス,光ファイバー応用技術,光・電波科学,計算科学 ●主な活動・受賞歴等
1999年 平成10年度電子情報通信学会論文賞受賞 1999年 平成11年度電気関係学会北海道支部連合大会若手講演者表彰受賞 2001年 平成12年度電気関係学会優秀論文発表賞受賞 2002年 平成13年度電子情報通信学会学術奨励賞受賞 2003年 平成14年度丹羽保次郎記念論文賞受賞 2004年 国際会議 Opto-Electronics and Communications Conference(OECC 2004)Best Paper Award受賞 2005年 エリクソン・ヤングサイエンティスト・アワード2005受賞 2008年 平成20年度文部科学大臣表彰若手科学賞受賞 2009年 船井情報科学奨励賞受賞 2011年 東北大学電気通信研究所RIEC Award受賞 2015年 第12回(平成27年度)日本学術振興会賞 2017年 IEEE Photonics Society Distinguished Lecturers Award

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