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絶え間ない努力をして 本当に自分がやりたいことをやり続けるメキシコ光学会(AMO)会長 CIO(光学研究所)教授 Dr. アマリア・マルチネス・グラーシア

感情的にならずに,ただ相手の意見を黙って聞く

聞き手:アマリア先生がメキシコ光学会会長として経験されたご苦労をお聞かせください。

アマリア:会長を務めることはそんなに苦労ではないと思っています。確かに,言いたいことはたくさんありますし,仕事も山ほどあって,研究をする時間をとるのも難しいほどです。それでも何とかなっていますから,そんなに大変ではないと思います。メキシコ人は一般的にいつも前向きであまり心配し過ぎないということも関係しているかもしれません。
 それでも,ときどき大変だなと思うことはあります。例えば,同じ仕事をしている人たちから同意を得られなかったり,複数の意見が出て議論が紛糾してしまったりしたときなどです。違う意見を持っている人と仕事をするのは簡単ではありません。そういう事態になったら,とにかく感情的にならずに,ただ相手の意見を黙って聞くようにしています。私もできるだけケンカしたくないですから。もし私の研究が間違っているという人がいるとしても,私はその人の意見を聞いて尊敬します。それはその人は私を手伝いたいから苦言を呈しているのだと思うからです。もちろん最初はこのような人を認めることができませんでしたが,今はもう違います。

メキシコ・オプティクス・フォトニクス会議でガリレオ・ガリレイ賞(Galileo Galilei Award)の
プレゼンターとして登壇したICO会長の荒川泰彦教授。右は受賞者のChandra Shakker教授


聞き手:メキシコ人と日本やその他の国の方との違いはありますでしょうか?

アマリア:メキシコ人は一般的に数学とコンピューターなどが得意です。日本人はとても真面目だと思います。メキシコ人は日本人と違って,とてもリラックスするのです。仕事の面でも。先程も言いましたがメキシコ人は一般的に前向きであまり心配し過ぎません。ですから何事にもリラックスして臨みます。「でも,大丈夫ですよ」「そのことを心配するより,今できることをしましょう」という感覚があるのです。

長女が父との仲直りを助けてくれた

聞き手:女性の研究職で活動される中で困惑したことや,大変だったことをお聞かせください。

アマリア:私が進学するときに父に大反対されました。父は「女性は家にいるべきだ」という考え方を持っていました。当時は黙って聞くこともできず私と父はけんかになってしまいました。
 将来,私が結婚したときには,もちろん私も家族をサポートするつもりだということを父に伝えたりもしましたが,なかなか納得してもらえず10年近くかかりました。その後私は結婚し子どもも授かりますが,私と父の仲直りを助けてくれたのはその長女でした。長女が生まれたことを知った父は「家に戻ってきても良いんだよ。ここはあなたの家なのだから」と言ってくれたのです。
 また,結婚して母親になることも大変だと思います。家事もしなければいけませんし,子どもの面倒を見ないといけません。もちろん研究の時間もほしいし,それは自分にとって大変なことでした。幸いにも周囲からのフォローがありとても助かりました。

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Dr. Amalia Martínez García (あまりあ・まるちねす・ぐらーしあ)

Dr. Amalia Martínez García (あまりあ・まるちねす・ぐらーしあ)

メキシコ・モンテレーのUANL(ヌエボ・レオン大学)において自然科学学部の物理学の学士号を取得。メキシコ科学研究・高等教育センター(CICESE)にて応用物理学の修士号を取得。メキシコのレオン市にある光学研究センター(CIO)で光学の博士号を取得。その後,CICESEの研究者を経て,CIOの教授,国家研究者システム(SNI)のメンバーを務める。SPIEとOSA会員。メキシコ光学会(AMO)の会長を務める(2015-2016)。
●研究分野
ホログラフィー,スペックルとモアレ技術,画像相関とステレオビジョンシステム

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