【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

絶え間ない努力をして 本当に自分がやりたいことをやり続けるメキシコ光学会(AMO)会長 CIO(光学研究所)教授 Dr. アマリア・マルチネス・グラーシア

女性は家にいるべきだという考え方を変えようとしている

聞き手:女性の研究者を増やすことが日本では課題になっています。アマリア先生が女性研究者を増やすために必要だと考えていることをお聞かせください。

アマリア:私の父のように「女性は家にいるべきだ」と考える人も多く,その考え方を変えようとしています。それぞれの性別のためのイベントを行い,私もそのイベントをオーガナイズするための会議に参加しています。学生のとき,私は先生からたくさんのサポートをうけました。ですから今,教授の私はそれと同じように学生をサポートしないといけないと考えています。それは研究の指導だけではなく,奨学金を探すのを手伝うとか,優れた環境を作ることも含まれると思います。 今の私がメキシコの教育に貢献できることは誇りに思います。
 メキシコ政府も経済的なサポートをしています。メキシコ国家科学技術審議会(CONACYT)というメキシコにおける科学技術政策の推進を担っている機関があります。奨学金や資金提供をしていますが,通常の業績評価の際に,研究者が子どもを養育していると期間の延長があります。自分の研究に将来性がある限り政府から手当をもらうことができます。
 また,パートナーの協力も必要不可欠です。私の夫も同じ職場で働いていて,研究テーマが違うだけです。二人はなにをするにも半分半分でしています。例えば,出掛けるときの支払いもそうですし,家事も私が半分で夫が半分です。私たちの娘が赤ちゃんのときも,私をよく手伝っていつもサポートしてくれました。
 今,私は日本にいますので,夫が娘の面倒を見てくれています。次女はもう16歳ですが,夫が娘と一緒にいるというだけで,安心できます。

可能な限り責任を持ち,結果を見てさらに行動する

聞き手:最後に光学分野の若手技術者や学生などに向けて光学分野の面白さやメッセージをお願いします。

アマリア:オプティクスはさまざまな分野で適用することができ,とても重要な分野だと思います。そして研究は自由なものです。日本だと産業と結びついてることが多いので結果を早く出さないといけないように見えます。私たちは研究をするとき,その研究をする原理または研究の仕方が重要だと考えます。私は大学生のとき,自分が書いた論文はあまり良くなかったと感じて,落ち込んだときがありました。成果を出すのは大変でもそれは当たり前のことなのです。ですから,可能な限り責任を持ち,結果を見てさらに行動して,絶え間ない努力をして,本当に自分がやりたいことをやり続けてほしいと思います。
 これからはO plus Eにもメキシコ光学会のイベント情報を掲載していただく予定なので,ぜひメキシコにお越しください。

Dr. Amalia Martínez García (あまりあ・まるちねす・ぐらーしあ)

Dr. Amalia Martínez García (あまりあ・まるちねす・ぐらーしあ)

メキシコ・モンテレーのUANL(ヌエボ・レオン大学)において自然科学学部の物理学の学士号を取得。メキシコ科学研究・高等教育センター(CICESE)にて応用物理学の修士号を取得。メキシコのレオン市にある光学研究センター(CIO)で光学の博士号を取得。その後,CICESEの研究者を経て,CIOの教授,国家研究者システム(SNI)のメンバーを務める。SPIEとOSA会員。メキシコ光学会(AMO)の会長を務める(2015-2016)。
●研究分野
ホログラフィー,スペックルとモアレ技術,画像相関とステレオビジョンシステム

私の発言 新着もっと見る

本誌にて好評連載中

私の発言もっと見る

一枚の写真もっと見る