セミナーレポート

― 「感性・技能を測る画像センシング」その解題と展望 ―中京大学大学院 輿水 大和

本記事は、画像センシング展2011にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

5.むすび

 画像センシング技術・画像応用技術の立脚すべき科学技術論・哲学について,それをどのように論じたらよいかを問題提起し,そのための導入的話題を紹介した。本特集全体では,人の感覚,感性やスキルを計測,解釈,表現するための画像センシング(ひいては,情報科学技術)に焦点を当てた最新の話題を通してその現状と動向を探り,またその分野における研究開発の今後を具体的に展望している。そこで本総論ではこれらを通貫する,これに付託された課題の真髄は何かを見極めるための小論考を試みた。その方法の機軸を,H.ベルクソンの『意識の直接的与件論―時間と自由―』と『物質と記憶―肉体と精神の関係に関する試論―』に結晶している哲学的思索に聴き学ぼうとした。
 これらを通して,まず,画像センシング技術の立脚すべき学問的基盤(物質科学とココロ科学)の要請のありかを探った。もちろん,この総論はそのような観点からするともっと広く多様な見解を,それが同種の方向であろうが対立的なものであろうが,真摯に学ぶ必要がある。その調査不足は筆者の怠慢によるものである。次いで,画像センシング技術は,「画像の計測か/画像による何の計測か」を具体例に深く入って丁寧に判じたつもりである。これらを受けて,画像センシング技術研究への展望を得るための手掛かりが少しでも得られたとするなら,そして,活発な議論への一つのきっかけともなれば,望外の幸いである。

参考文献(この論文の隣接文献)

  • 1)小川英光:“標本化と量子化”,AP6~1,パネル討論SS~36,2006年電子情報通信学会総合大会,国士舘大学(2006年3月)
  • 2)輿水大和,本田和広,中村奈津子:“量子化定理の提案~画像グレースケール離散化の数理的考察”,VIEW2002, (101),パシフィコ横浜, ( 2002年12月)
  • 3)大照完:「基礎電気計測」,オーム社,pp.236 ~ 237(1966年)

(本総論の基盤とした文献)

  • 4)本居宣長:「うひ山ふみ」,鈴屋答問録,第39刷,岩波文庫(2007年)
  • 5)小林秀雄:「本居宣長(上),(下)」,p.224,新潮文庫(平成16年)

(科学技術論,サーベイ)

  • 甘利俊一:“時代をひらく電子情報通信技術特集,脳科学への期待”,電子情報通信学会誌,Vol.90,No.5,pp. 345 ~349(2007年)
  • ヒューバート・L ・ドレイファス:「コンピューターには何ができないか:哲学的人工知能批判」,産業図書
  • 辻三郎編:「感性の科学」,サイエンス社(1997年)

(この論文の隣接文献:その2)

  • 輿水大和:“輿水研のコマーシャル”,精密工学会誌,Vol.73,No.4,pp. 435 ~ 436(2007年)
  • 輿水大和:“情報科学という学問を再考する。- 物質科学とココロの科学”,サマーセミナーSS2008(IAIP / JSPE),那須オオシマフォーラムセミナーハウス(2008年)
  • 輿水大和:「情報科学という学問を再考する」,“環境知能のすすめ”,発売丸善出版,発行codex images / remixpoint,inc.(2008年)
  • 輿水大和:“ロボットビジョン小論考”,NACHI TECHNICALREPORT, Vol.16 A1, No.3, 株式会社不二越, pp.22 ~ 33(2008年)
  • 輿水大和:“H2K60 シンポジュウム”,早稲田大学(2008年)http://www.h2k60.org/
  • 輿水大和,橋本学,楜澤信,梅田和昇:“精密工学における画像産業応用技術の展望―その技術の性質と立脚すべき科学技術試論―”,JSPE 誌特集論文集(“実世界における画像技術の応用”),Vol.75, No.2, pp.213 ~ 219(2009年)
  • 輿水大和:“物質科学とココロ科学―情報科学,画像応用という学問再考―”,中京大学情報理工学部テクニカルレポート,No.2009~12~02, ISSN 1883-0579
  • 輿水大和:“アスリートと匠の技の秘密に迫る画像センシング”, KEIOイメージ& フォトニクスフォーラム,慶応義塾大学三田キャンパス(2009年)
  • 輿水大和:“画像処理の『いろは的』および『先端的』課題(Fundamental and Cutting-edge Tasks in Image Processing)”,文部科学省新学術領域創生(細胞内ロジスティックス班会議),(2009年)
  • 舟橋,藤原,輿水(中京大学),岩崎,青野(トヨタ自動車):“作業員の動作・視線に基づく“人らしい”検査システム”,ViEW2009 論文集,パシフィコ横浜(2009年)◇ 輿水大和:“ココロ計測の科学技術試論― IAIPはココロ計測科学技術を要請する― ”,2009年度第5回IAIP 研究会(2010年)
  • 輿水大和:“検査ロボット,似顔絵ロボット,アスリート支援の情報科学- 心技体の計測問題- ”,AI 財団,「適応人工知能技術調査研究」成果発表会(2010年)
  • 輿水大和:“ビジョン技術の産業応用と今後の可能性について”,KICC九州イノベーション創出促進協議会第3 回画像処理技術研究会講演会,熊本市(2010年)
  • 輿水大和:“ココロ計測の科学技術試論― IAIP はココロ計測科学技術を要請する―”,第5 回IAIP 研究会(2009JSPE)(2010年)
  • 輿水大和:“総論農林水産業のマシンビジョンエイド/マシンビジョンの農林水産業エイド”,ViEW2009-OS『農水産分野のマシンビジョンを展望する』オリエンテーション,パシフィコ横浜(2009年)
  • 輿水大和:“画像処理の『いろは的』および『先端的』課題(Fundamental and Cutting-edge Tasks in Image Processing)”,新領域・細胞内ロジスティックス班会議/万座ビーチ(2009年)
  • 輿水大和:“物質科学とココロ科学- 情報科学,画像応用という学問再考-”,中京大学情報理工学部テクニカルレポート,Report No. 2008~01~02,ISSN 1883~0579(2009年)
  • 輿水大和:“アスリートと匠の技の秘密に迫る画像センシング(ImageSensing for Confiding the Hidden of Skills inAthletes and Experts)”,KEIOイメージ& フォトニクスフォーラム2009,慶応大学三田(2009年)

(本総論の基盤とした文献:その2)

  • H.ベルクソン(中村文郎訳):「時間と自由」,岩波文庫,岩波書店(2001年)
  • (第一著作)アンリ・ベルクソン(合田正人,平井靖史訳):「意識に直接与えられたものについての試論- 時間と自由」,ちくま学芸文庫(2002年)
  • (第二著作)アンリ・ベルクソン(合田正人,松本力訳):「物質と記憶(Matter and Memory)」, ちくま学芸文庫(2007年)
  • (第三著作)ベルクソン(真方敬道訳):「創造的進化」,岩波文庫(1907)
  • (第四著作)ベルクソン(高山高次訳):「道徳と宗教の二源泉(La pensée et le mouvant)」,岩波書店(1934年)
  • 立花隆,利根川進:「精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか」,文春文庫
  • 超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム,URL :http://www.scat.or.jp/urcf/)
  • 「質的心理学講座全三巻」,東京大学出版会(2008年)
  • 本居宣長(日野龍夫校注):「本居宣長全集紫文要領」,新潮日本古典集成,集新潮社,p. 242(平成10年)
  • H.ベルクソン(田島節夫訳):「物質と記憶」,白水社(2006年)
  • フロイト(高橋義孝訳):「夢判断(上),(下)」,新潮文庫(平成18年)
  • 「小林秀雄講演集CD 第4 巻『現代思想について』」(新潮社)(2007年)
  • 小林秀雄:「全作品別巻1 感想(上),(下)」,新潮社(平成17年)
  • 柳田國男:「遠野物語」,山の生活,岩波文庫(1998年)
  • “環境知能の提言”,DVD,NTTコミュニケーション科学基礎研究所(2007年)
  • 「まっしゅるーむの世界2005 ―いつでもそばにいてほしい―」,NTTコミュニケーション科学基礎研究所(2005年)
  • http://www.emec.co.jp/hareruya/vol4/ebm_nbm.htm

中京大学大学院 輿水 大和

1975年,名古屋大学大学院博士課程修了(工学博士)。同年,名古屋大学工学部助手に就任し,名古屋市工業研究所に所属。1986年,中京大学教養部教授に就任。1990年,同大学情報科学部教授。1994年,同大学院教授。2004年,情報科学部長。2006年より情報理工学部長, 2010年より大学院情報科学研究科長に就任。画像センシングや画像処理,顔学,デジタル化理論OKQT,ハフ変換などとそれらの産業応用の研究に従事。IEE,IEICE,SICE,JSPE,JFACE,JSAI/QCAV,FCV,MVA,SSII,ViEW,DIAなどで学会活動中。JFACE副会長,SSII会長,IAIP委員長など。仲間とともに,SSII2010優秀学術賞,小田原賞(IAIP/JSPE,2002,2005),IEE優秀論文発表賞(2004,2009,2010,2011など),技術奨励賞・新進賞(SICE2006,NDI2010)などを受賞。

アーカイブもっと見る

商用化が目前に迫る完全自動運転における画像センシング技術の重要性
商用化が目前に迫る完全自動運転における画像センシング技術の重要性(11/26) インテル(株) 事業開発・政策推進ダイレクタ 兼 名古屋大学客員准教授 野辺 継男
脳と人工知能
脳と人工知能(9/25) 理化学研究所 栄誉研究員 甘利 俊一
超高齢化時代におけるみまもり工学 センシング技術への期待
超高齢化時代におけるみまもり工学 センシング技術への期待(9/25) 東京大学大学院医学系研究科 特任教授 森 武俊
自分で考えるロボットの実現に向けて
自分で考えるロボットの実現に向けて(7/25) オムロン(株) 技術・知財本部 技術専門職 井尻 善久
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~(7/25) 大阪府立大学 大学院工学研究科准教授 岩村 雅一,大阪府立大学 大学院工学研究科博士課程 山田 良博

ダウンロード

展示会FAQ