セミナーレポート

コンピュテーショナルイメージング概説東京大学 大学院 情報理工学系研究科 准教授 堀﨑 遼一

本記事は、画像センシング展2022にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

>> OplusE 2022年7・8月号(第486号)記事掲載 <<


コンピュテーショナルイメージングの概要と歴史

 従来のイメージングシステムは結像光学系が前提となっており,対象から出てきた光は光学系によってイメージセンサー上に像として結ばれます。撮影画像はオリジナルの対象とほぼ同じ形です。しかし,高い空間分解能や広い視野を求めていくと,光学系が大きくなってしまうという問題があります。一方,コンピュテーショナルイメージング(CI)はこのような結像光学系を前提とせず,変調光学系を通して対象情報をイメージセンサー上に写像します。この場合,撮影画像はオリジナルの対象とは違うものになりますが,撮影した後の画像処理,信号処理を施すことによって,オリジナルの画像を復元することができます。CIでは,光学系を通して対象情報を符号化し,符号化された情報を計算機の中で復号化するという捉え方をします。符号化,復号化のプロセスを踏むことで,従来のイメージングでは困難だった性能の達成や,光学系の簡略化,極端な場合はなくすことも可能になります。CIは計測だけではなく,光の制御にも使うことができます。典型的なものに3次元ディスプレイがあります。光計測を行う場合には光学系を使って符号化し,処理系を使って復号化します。光制御の場合は,処理系を使って符号化し,光学系を使って復号化します。
 CIの歴史を振り返ると,1969年のイメージセンサーの誕生が大きな革新になりました。そして,1970年代後半には,ニューラルネットワークブームが起こり,現在に至る深層学習の盛り上がりにつながっています。時を同じくして,光コンピューティングの隆盛がありましたが,計算機のパワーが向上したことで存在価値が薄れていきました。しかし,これはCIを生む土壌になりました。光と電気を融合した光電融合型のシステムをイメージングに先鋭化させたものがCIです。光演算の高速性,並列性と電気演算の柔軟性,汎用性,小型などを組み合わせることによって,新たな機能を発現することが可能になりつつあります。

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東京大学 大学院 情報理工学系研究科 准教授 堀﨑 遼一

2010年 大阪大学 大学院 情報科学研究科 博士後期課程修了
2010年~2020年 大阪大学 大学院情報科学研究科 助教
2017年~2020年 JSTさきがけ(兼任)
2020年~現在 東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授

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