セミナーレポート

オフィス用品を用いた化学センサーデバイスの作製とパターン認識に基づく多成分同時検出東京大学 生産技術研究所 南 豪

本記事は、画像センシング展2021にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

>> OplusE 2021年9・10月号(第481号)記事掲載 <<


誰でも・どこでも・簡便に測れるユビキタスな化学センサーの実現を目指して

 身の回りに存在する「センサー」に着目すると,物理刺激を検出する物理センサーと比較して,化学情報を可視化する化学センサーの開発は未だ萌芽段階にあります。例えば,ワイン,日本酒などの利き酒ですら,自前の化学センサーである味覚によって認識した後,経験則に基づいて味を判断しています。これは,化学種・濃度はデジタル情報として得られておらず,さらに,それを客観的に判断できる化学センサーが身の回りにないことを示唆しています。
 化学センサ―は,「化学種認識部位」と「情報変換部位(トランスデューサ)」から構成されます。認識部位で標的種となるイオンや分子が捕捉されると,その化学情報はトランスデューサを介して光学応答や電気的応答として我々が知覚できるレベルまで増幅されます。さらにパターン解析技術を化学センサーに導入することで,学習データに基づくより正確な多成分検出・判別が可能となります。本センサーが社会に普及することで,例えば,体液中のバイオマーカーや河川水・海水に含まれる有害物質,アレルゲンなどの簡便検出が可能になります。そこで私は,分子間にはたらく弱い力を巧みに活用して新たな機能を生み出す学問(分子認識化学)に立脚したセンサー設計と身の回りのオフィス用品を組み合わせたアプローチを提案し,誰もが・どこでも・簡便に使えるユビキタスな化学センサーの実現に取り組んでいます。

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東京大学 生産技術研究所 南 豪

2011年 首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 博士後期課程修了 同年 米国ボーリンググリーン州立大学化学科 博士研究員 2013年 同大学 Research Assistant Professor 2014年 山形大学大学院理工学研究科 助教 2016年 東京大学 生産技術研究所 講師 同年 東京大学卓越研究員 2019年 同大学 准教授 現在に至る 2021年 仏国コンピエーニュ工科大学 客員教授 同年 山形大学 客員教授 文部科学大臣表彰若手科学者賞など全35件受賞

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