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ホログラフィーは私にとって学校のようなものです。石川光学造形研究所 石川 洵

映像のユビキタス

今後の事業展開として考えている分野のキーワードに「ユビキタス」があります。
 一般的なユビキタスについての言葉の意味は,いつでも,どこでもコンピュータとネットワークを利用できる環境のことをさしますが,私は表示装置といった切り口からユビキタス市場に参入できればと考えています。
 ユビキタスが実現すれば,映像のシームレス化が起こるのではないかと思っています。どういうことかというと,日常生活のなかで接するものに映像がどんどん入り込んで来ることにより実態と映像が混在する社会が来るのではないかと思うのです。
 例えば,部屋の壁が表示装置になっていて,自由に壁のデザインを変えられたり,空間に壁の映像を投影することで,あたかも壁があるようにしたりというようにです。
 つまり,テレビのようなディスプレイに映し出された映像を意識して見るのではなく,環境の一部として映像は存在し,各種のインフォメーションにしてもモニター画面を意識することなく見ることができるといった具合にです。
 ユビキタスに関しての取り組みはまだ始まったばかりで,実際にこれからどうなるか予測はつきませんが,案外ホログラフィーの技術が役にたつのかもしれません。

次世代を見据えて

 2005年になり,ホログラフィーを始めて四半世紀が過ぎたことになりますが,最初の頃に比べて環境は大きく変わりました。現在メインの仕事は立体映像表示装置の開発ですが,ホログラフィーは私にとって学校のようなもので,そこから得たものがたくさんあります。
 ものごとには流行・すたれがあり,その繰り返しですから現在の状況もいたしかたないといえます。しかしながら,いつかブームが再び起こると個人的には思っていますので,今後の仕事に関してもどこかにホログラフィーというポジションを残して行きたいと考えています。
石川 洵

石川 洵(いしかわ じゅん)氏 ご経歴

1946年生まれ。69年,早稲田大学第一商学部卒業。同年,日産自動車(株)入社。82年,石川光学造形研究所設立。88年~92年,多摩芸術学園非常勤講師。89年,石川光学造形研究所を有限会社に改組 代表取締役に就任,そして現在にいたる。
日本ディスプレイデザイン協会,日本バーチャルリアリティ学会,日本映画テレビ技術協会などに所属。

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OplusE 2005年5月号(第306号)

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