セミナーレポート

オフィス用品を用いた化学センサーデバイスの作製とパターン認識に基づく多成分同時検出東京大学 生産技術研究所 南 豪

本記事は、画像センシング展2021にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

その場で使用できる化学センサーを目指して

 センサーアレイの開発において,適切な材料やデータ取得法を選定することでその場での迅速な分析が可能となります。私は,安価にどこでも手に入る身近な材料である紙を用いた「紙製のセンサーアレイ」を設計し,オフィススキャナーを組み合わせた「画像解析システム」を提案しました。紙製センサーアレイは,センサー溶液を充填したカートリッジを実装したオフィスプリンターを用いて作製可能です。滴下する標的サンプルはわずか数μL(0.001 mL)程度のごく微量であるため,例えばバイオマーカー検査などの僅かな採取量のサンプルに対しても正確に評価を行うことができます。紙上に並べたセンサーの色の変化は,オフィススキャナーで迅速に記録し,デジタル画像として得られます。自作のアルゴリズムを用いることでデジタル画像上の彩度を数値化し,入力データを得ます。そのデータをパターン学習技術を用いて解析すると,定性分析(化学種の判別),半定量分析(化学種とその濃度の判別), 定量分析(未知濃度の予測)の結果を取得することができます。一例として,私は比色紙型センサーアレイを用いて,12種類の糖類の判別とジュースに存在する糖の未知濃度予測に成功しています。

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東京大学 生産技術研究所 南 豪

2011年 首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 博士後期課程修了 同年 米国ボーリンググリーン州立大学化学科 博士研究員 2013年 同大学 Research Assistant Professor 2014年 山形大学大学院理工学研究科 助教 2016年 東京大学 生産技術研究所 講師 同年 東京大学卓越研究員 2019年 同大学 准教授 現在に至る 2021年 仏国コンピエーニュ工科大学 客員教授 同年 山形大学 客員教授 文部科学大臣表彰若手科学者賞など全35件受賞

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