セミナーレポート

本人が気付かない精神疲労をさりげなく見つけて教えてくれる,家族のような見まもりシステムを目指して東京理科大学 工学部 電気工学科 教授 阪田 治

本記事は、画像センシング展2021にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

>> OplusE 2021年7・8月号(第480号)記事掲載 <<


本人の不調に気付く家族の役割を機械に代替させる

 本学ではJAXAと共同で宇宙開発のプロジェクトを進めており,今回の研究はその一環として行われました。人が極限環境,閉鎖環境に,数週間,数か月に渡って長期滞在する際に,精神的不調が起こってしまったらどうするか。例えば,うつ病などになると,その治療や対処としては,ストレス源やうつ病の原因となった環境からその人を離脱させることになります。しかし,閉鎖環境の中にいる人にとってはそれが難しいわけです。うつ病になってしまうと治療は大変になりますので,その前に発見しようというのが目的です。
 これは,宇宙だけでなく,過疎地や砂漠地帯,ジャングル,南極など,その場から人を離脱させることが難しい環境に長期滞在するという地球上でも使える技術です。宇宙の場合は,心身ともに鍛え抜かれた宇宙飛行士が行くわけですが,いずれ一般市民が行って仕事をする,日常生活をすることもあるかと思います。その時に何が起こるのかを考え,そのために必要なことを研究しています。
 精神的な不調を本人が自覚するのは難しく,周りから指摘されることがよくあります。精神不調の主な原因であるストレスは蓄積します。ストレスを検出する手法はいくつもあります。心拍や脳波などでも測れますが,それは短期的なストレス上昇しかわかりません。長期に渡って溜まっている精神的な疲労を客観的な指標として測る手法は医学的にありません。そこで,生体情報を使って,本人も気づかないところでその兆候を見つけようというのが研究の目的となります。その中に,画像関係の情報取得も含まれます。
 本人の不調に気付く家族の役割を,個人のモニターシステムとして機械に代替させるところに目標があります。家族のように本人の不調を感じ取るシステムに求められる仕様としては,観察対象の能動的な協力を必要としないこと,異種・複数の生態情報を利用すること,非拘束・非侵襲のモニタリングで,可能な限り非接触のモニタリングである,完全自動でオフライン稼働であること,などが求められます。

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東京理科大学 工学部 電気工学科 教授 阪田 治

2001年筑波大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。茨城県立医療大学嘱託助手,(独)食品総合研究所特別研究員,山梨大学 大学院 医学工学総合研究部助教・准教授を経て,2016年東京理科大学 工学部 電気工学科准教授,2021年同教授。多次元生体信号解析および生体画像解析の理論研究,およびこれら技術の医療工学や農業・食品工学への応用に関する研究に従事。

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