セミナーレポート

超高齢化時代におけるみまもり工学 センシング技術への期待東京大学大学院医学系研究科 特任教授 森 武俊

本記事は、画像センシング展2018にて開催された誰にでもわかる特別講演を記事化したものになります。

みまもりテクノロジー

 高齢者のみまもりサービスの例では,自宅で独居高齢者がボタンを押すと,サポートセンターにつながり,ハンズフリーフォンで対話をすることができるものがあります。そこで,話しかけて何の反応もなければ,消防・救急を呼んだり,セキュリティ会社に駆けつけてもらったりします。ただし,想像するとわかると思いますが,当人からすればボタンを押せば大ごとになるのはわかるので,簡単にはボタンを押せないということがあります。そこで,最近ではセンサーを各部屋に入れるサービスが行われています。センサーで普段の生活を把握しておいて,そのパターンから大きく外れた場合,セキュリティ会社などに連絡をするのです。
 私たちは,こうしたみまもりサービスで得られるデータを解析してみました。東大病院の先生方に協力していただき,ターゲットにしたのは老年病科に通院されている患者さんです。宅内での動きの目安となる1日あたりの総センサー検知数が一番小さい方は1060回,多い方は3330回でした。1日の宅内移動数は認知機能指数であるMMSEが低位の場合,より少ないことがわかりました。単純な焦電センサーにより毎日どの部屋でどれくらい動いているかを測るだけでも,その方の運動機能や認知機能が下がりかけているのがわかる可能性があるのです。
 今後の方向性の一例として,大規模病院でのセンサーデータ解析があります。ナースコールのデータを蓄積することで,看護師の動線や患者の位置等のデータとの関連づけも得られるようになります。私は今,看護理工学という領域を考え,取り組みを行っています。そこで行うことは2つあり,1つは,観察,計測,分析を客観的に行える仕組みを作り,支援をすることです。もう1つは,病院で実際に機器類を使っている看護師が使いやすい機器を作るための支援をすることです。医療は,CureからCareへと向かい,一人ひとりに合わせたパーソナライズドケアが必要になってきています。個別に適合するためには,機器を活用した,みまもりの定量化が重要になっているのです。

東京大学大学院医学系研究科 ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座 特任教授 森 武俊

1995年,東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1995年,東京大学先端科学技術研究センター助手。1998年,同講師。2001年,米国マサチューセッツ工科大学 客員研究員。2002年,東京大学大学院情報学環助教授(准教授)。2010年,東京大学大学院医学系研究科特任准教授。2015年より現職。

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