セミナーレポート

QoLと生体センシング技術オムロンヘルスケア(株) 志賀 利一

本記事は、画像センシング展2015にて開催された招待講演を記事化したものになります。

生活習慣病の予防・診断・診療のために

 当社では,家庭で測った血圧データを携帯電話回線で転送する「Medical LINK(メディカルリンク)」により,家庭血圧を計測するというサービスを始めています。血圧計に関しては,最近では圧電ポンプによりまったく音のないものに変え,リスクの高い夜に患者を起こすことなく測れるようにしました。活動量計では,家事などでも精度を持つような設計を実現しました。また,簡便に個人の摂取塩分の状況を測定できるナトリウム/カリウム比測定器であるナトカリ計を開発しています。睡眠計はヨーロッパの電波技術を取り込み開発に成功,PSG(睡眠ポリグラム)という脳波を一晩中測り,睡眠の深度を見ることができる方法で精度検証しています。
 病気のないゼロからさらにプラス側に持っていくためには,運動,食事,睡眠が基本になります。これらをつなぐ「ウェルネスリンク」というものを立ち上げました。健康管理のためのポータルサイト「WM(わたしムーヴ)」というサービスもあり,150万超の会員数になっています。
 家庭などでさまざまなデータを取り,いろいろなキャリアメーカーやITメーカーが参加し,ディープラーニングなどを行い,それらを病院や医療機関,家庭でのサービスにつなげる。そのキーになるのが私たちの技術です。最近は,スマートフォンを使った画像技術による医療関連の製品がいろいろな企業から次々と生まれています。例えば,スマートフォンで顔画像を見ると心拍数がわかるというものがあります。また,スパイロメーターというぜんそくなどの患者さんの肺の能力をみるためのものがあります。スマートフォンで口腔内の画像を見て腫瘍や口の中の健康を調べるものや,視力の検査,皮膚がんを調べるものもあります。
 センシング技術は重要ですが,それだけでなく医学,臨床と連携し,どのような指標が意味を持つのかを考察していくことが大事になります。ちなみに,私たちは「The Sense of Wonder?不思議を感じる感性と,それによる驚きを生む価値の創造」ということで,技術開発部門でありながら,技術を開発するということより価値創造を重視した,技術戦略を進めています。

オムロンヘルスケア(株) 志賀 利一

1982年山口大学工学部電気工学科卒業。1986年北海道大学大学院工学研究科生体工学専攻修士課程修了。同年(株)立石ライフサイエンス研究所,現:オムロンヘルスケア(株)入社。1998年北海道大学大学院工学研究科生体工学専攻博士課程(社会人選抜)修了。博士(工学)。現在:全社の技術戦略立案,技術管理,新技術探索・インキュベーションを担当。 専門分野:生体工学,医用電子工学,近赤外分光学,生体計測工学全般。

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