セミナーレポート

ロボットを活用した社会インフラ,プラントの構造物点検技術(株)イクシスリサーチ 山崎 文敬

本記事は、国際画像機器展2013にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

人をロボットに置き換えるのではなく,人の作業をロボットで補完する

 高度成長期に建設された高速道路などの社会インフラやプラントなどの産業インフラの老朽化が社会問題になる中,構造物の点検が急務となってきています。しかし,点検を行うメンテナンス業界は団塊世代の大量退職による労働力不足や技術が伝承されないという問題を抱えています。また,設備の老朽化の中で,未点検箇所や点検困難箇所の点検が求められていますし,作業員の技量差による検査品質のバラツキも問題になり,産業インフラではグローバル化に伴うコスト競争も激しくなっています。
 こうした中で,点検の効率化,未点検・点検困難箇所の点検実現,点検品質の一定化の実現がロボットに期待されています。点検のロボット化というと,作業員が行う点検をロボットで置き換えればよいと考える人がほとんどです。しかし,それは最大の失敗例で,「人減らしが行われる」という現場の反発を招き,ロボットを開発したとしても,実証実験もやらせてもらえません。それに対して,人では作業できない箇所,危険下で作業している箇所,不自然な体勢で作業をしている箇所で使うという考え方にもとづくことで,ロボットが現場に入っていくことが可能になります。ロボットはあくまで,ハンマーやドライバーのような道具で,作業員の身体の拡張だという観点で開発し,作業員がいないと動かないようにすることが重要です。
 私たちは以前,災害用ロボットを開発していましたが,消防くらいしか需要がありませんでした。そのため,いつまで経っても試作品のままで改良できないことから,形がほとんど同じ点検検査用ロボットを作ることにしました。その中で,産業インフラである石油化学コンビナートの精製エリアでの配管点検は,防爆仕様で作らなければなりません。そこで,防爆認定を受けた部品を使って,ステンレス素材の管をベルトで締め付けて,エアモーターで動くロボットを開発しました。

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(株)イクシスリサーチ 山崎 文敬

1998/3 早稲田大学理工学部機械工学科 卒業
2000/3 早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程 修了
2003/3 大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻博士課程 修了
2000/9?2002/3 科学技術振興事業団ERATO北野共生システムプロジェクト 学生技術員
2003/4?2004/3 大阪大学 阪大フロンティアリサーチ研究機構(阪大FRC) 特任研究員
1998年~ 株式会社イクシスリサーチ代表取締役

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