セミナーレポート
ロボットを活用した社会インフラ,プラントの構造物点検技術(株)イクシスリサーチ 山崎 文敬
本記事は、国際画像機器展2013にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
目視点検のカギは撮影方法の選択,点検箇所への正対,カメラはレンズで選ぶこと
社会インフラ用点検ロボットの代表例が,橋梁超音波探傷ロボットです。首都高は9割が高架で,点検は地上から高さ数メートルの高所にある橋桁の中での作業で,桁内に吊り足場を組んで行います。それをロボットに置き換えると,足場を組む必要がなくなり,高速でデータの収集が可能です。ロボットには磁石が付いていて,作業員が棒で道路の裏面の桁に貼り付けます。そして,モーターは1個しか付いておらず,前進と後進ができるだけで,方向の変更や段差の乗り越えは作業員がロボットを棒で外して,付け替えます。取扱説明書すら不要で,簡単な操作で現場ですぐに使えるので,それを成功体験にして広げていくことで,作業員から様々なニーズが出てきて,現場が欲しがるようなよいロボットができます。また,橋梁点検用には,前進後進と左右切り替えができ,接近目視を行うマグネット吸着型目視点検ロボットも開発しています。目視点検のポイントは次の3つです。1つ目は何を撮影するかを決めることです。目視検査はカメラやムービーで撮影すればよいと思っている人が大多数ですが,見たいものによって,撮影方法は大きく変わります。2つ目は点検箇所に正対させることです。適当に撮影して,後でPhotoshopで画像を補正すればよいと考えている人が圧倒的です。しかし,3次元の被写体を撮影して,2次元化された画像に補正をかけても,必ず歪みが残り,点検用としては使えません。3つ目はカメラは画素数ではなく,レンズで選ぶことです。画素数が多ければ細かいところで見ることができると思っている人が多いのですが,同じ2000万画素でも,コンパクトデジカメとデジタル一眼の撮影画像は全く違います。
社会インフラやプラントの点検で目視したいものは,主に亀裂,浮き,腐食です。それらは遠望目視か接近目視で点検しますが,最近ではすべて接近目視です。また取得画像の蓄積はリスト化か,つなげて並べるパノラマ化のどちらかであり,色抽出やエッジ抽出などで処理します。作業を行う場合,これらを考えた上で,画像を撮影します。
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(株)イクシスリサーチ 山崎 文敬
1998/3 早稲田大学理工学部機械工学科 卒業2000/3 早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程 修了
2003/3 大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻博士課程 修了
2000/9?2002/3 科学技術振興事業団ERATO北野共生システムプロジェクト 学生技術員
2003/4?2004/3 大阪大学 阪大フロンティアリサーチ研究機構(阪大FRC) 特任研究員
1998年~ 株式会社イクシスリサーチ代表取締役