セミナーレポート

ロボットを活用した社会インフラ,プラントの構造物点検技術(株)イクシスリサーチ 山崎 文敬

本記事は、国際画像機器展2013にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

撮影時のロボットの位置や姿勢を画像と一緒にデータベース化,経年変化を見る

 こうした目視点検のポイントを考えた上で,ロボット化で求められる仕様は,(1)3次元構造物に対して,接近目視できる位置まで寄ること(2)被写体に正対すること(3)診断したい項目を満たすことができる能力の撮影機材を搭載すること(4)撮影時のロボットの位置や姿勢を撮影画像と一緒にデータベース化することです。特に4つ目がポイントで,上手にデータを整理しないと活用が困難になり,うまく活用すると,検査品質の飛躍的な向上が実現します。とりわけ,検査結果のデータベース化は,経年変化を記録できるため,亀裂の成長など状態の変化を3年後,5年後にチェックできるので,大きなメリットです。
 そのために開発しているのがワイヤ吊り下げ型橋梁目視点検ロボットです。コンクリート橋の主桁下フランジ付近から,床版を正対して前面撮影するもので,モーターは付いておらず,作業員がワイヤを引っ張って,移動させます。さらに,橋の接続部などの狭隘部は点検は人が入れません。これをロボットに置き換えると,従来,点検不可能だった高さ25センチほどの場所が橋桁側から点検できるようになり,交通規制も行う必要がありません。
 一方,産業インフラでは,マグネット吸着型目視点検ロボットを原油タンクや石油タンクの外壁や内壁に貼り付けて,点検ができます。また,プラントでは高い所に管が張られていますが,5メートル,12メートルの垂直伸延アームと全方位移動台車を備えた高所狭隘部検査ロボットを使って,高い箇所の配管も地上から点検することができます。
 このように,点検のロボット化が期待できる箇所は未点検箇所と点検困難箇所,そして,一定品質の点検が必要な箇所です。ロボット化にあたってのポイントは作業員の雇用を奪わず,作業員のスキルを補完する作業を行わせること,同行する作業員の補助を積極的に受けること,無駄に高度化しないことです。その上で,目視点検は撮影機材,撮影方法,後処理を考慮しながら行うことが大切です。

(株)イクシスリサーチ 山崎 文敬

1998/3 早稲田大学理工学部機械工学科 卒業
2000/3 早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程 修了
2003/3 大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻博士課程 修了
2000/9?2002/3 科学技術振興事業団ERATO北野共生システムプロジェクト 学生技術員
2003/4?2004/3 大阪大学 阪大フロンティアリサーチ研究機構(阪大FRC) 特任研究員
1998年~ 株式会社イクシスリサーチ代表取締役

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