セミナーレポート

人と人の共感・連携を促しチームパフォーマンスを高める “Sensing & Control+Think”技術 -オムロンが描く「人と機械の融和」の一形態について-オムロン(株) 技術・知財本部 ロボティクスR&Dセンタ 水山 遼

本記事は、画像センシング展2022にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

「人と機械の融和」の具現化を目指して

 卓球ロボットは,ほとんどがオムロン製の一般産業機器の組み合わせで構成されています。例えば,ボールのセンシングを行うステレオカメラや,人の顔のセンシングをしているカメラは,オムロンセンテック社の高精度カメラです。現場でも用いられる一般産業機器にこだわっているのは,ここで培った技術を将来リアルな現場課題に応用,適用していきたいからです。
 オムロンの考える人と機械のあるべき関係というのは,創業者の立石一真の言葉「機械にできることは機械に任せ,人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきである」に端的に表れています。オムロンが目指す長期ビジョン“SF2030”では,「人が活きるオートメーション」を掲げています。人の幸福,能力発揮を助けるため,代替・協働・融和という三形態のオートメーションをそれぞれ発展させ,利用シーンに適した形で社会実装を目指します。そのなかで卓球ロボットは,“融和”という人-機械の関係性を先駆けて具現化してきました。
 これまで卓球ロボットは,6世代にわたってそのSensing & Control +Think技術を発展させており,上級者から初心者までの多様なニーズに応えてきました。ロボットの卓球性能向上は勿論,プレイヤーの感情を理解しモチベーションを向上させる技術も備え,機械が人の可能性を引き出す,人と機械の融和という姿を描いてきました。そして,今回の第7世代卓球ロボットのコンセプトとしたのが,共感と連携を促す卓球ロボットです。新型コロナの感染拡大で,ビデオ会議など機械を介したコミュニケーションが増えましたが,完全に機能しているとは言い難いのが現状です。経験的にも明らかなように,ビデオ会議疲れの存在が報告され,脳活動レベルでも疲労が観測されています。ビデオ会議では相互理解が困難なために,人に負荷がかかっているという主張もあり,機械が人に負担を強いている状態です。一方で,人のコミュニケーションに介在する機械が,人の相互理解をむしろ促進できれば人間の可能性を拓く好機が訪れているとも捉えられます。それが今回のコンセプトの背景にあります。

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オムロン(株) 技術・知財本部 ロボティクスR&Dセンタ 水山 遼

2014年 大阪大学理学部生物科学科卒業
2016年 大阪大学大学院生命機能研究科 博士前期課程修了
2018-2019年 日本学術振興会 特別研究員
2019年 オムロン株式会社 技術・知財本部 ロボティクスR&Dセンタ(現職)

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