セミナーレポート

器用なロボットの実現を目指した3Dセンシング中京大学工学部テニュアトラック助教 秋月 秀一

本記事は、画像センシング展2019にて開催された誰にでもわかる特別講演を記事化したものになります。

ロボットアプリケーションの事例

 2015年に出した経済産業省のロボット産業の将来市場予測では,2035年に向けて製造分野中心のマーケットから,サービス産業がメインになり,その中でも物流が最も大きなマーケットになるとしています。こうした中,Amazonは物流ロボットの国際コンペを開催し,世界中の研究者から技術を募ってきました。2017年には「Amazon Robotics Challenge 2017」が名古屋で開催され,われわれも,三菱電機,中京大学,中部大学の合同チームで3年に渡って参加しました。
 ルールは,時間内にトレーからアイテムを取り出すピッキングと,特定のコンテナに納めるストーイングの正確性を競うものです。われわれのシステムは2台の産業ロボットで構成され,3Dセンサーと力学センサーを備えています。ビジョン戦略としては,CNN(畳み込みニューラルネットワーク)ベースで物体認識を学習させ,リアルタイムにどこに何が置かれているかを認識させていきます。問題は,認識したうちのどこを持てば,確実にピッキングできるかです。これはまさに3Dデータ処理の活躍するところです。検出した物体領域内のポイントクラウドデータに対してプリミティブな形状をあてはめ,プリミティブ形状ごとに把持点と把持方法を決定します。ここでは,結果的に,世界3位に入ることができました。
 Amazon Robotics Challengeではどこを掴んでもOKでしたが,道具を使うことができませんでした。タスクに合わせて適切な扱い方ができるように,最近では物体の機能を理解させることを考えています。物の形状は,特定の行為を適用しやすいようにデザインされているはずですから,作り手の意図を読み取れれば,タスクに合わせた把持=道具の利用が実現するのではないか。そう考え,われわれの研究グループでは,機能を認識するアルゴリズムを実装したお茶会ロボットシステムを,CEATEC JAPAN 2018で発表しました。このロボットは,物体認識,機能属性推定,把持位置推定を利用して,双腕でお茶たて動作を実現しています。われわれは,システムに使われている機能属性認識のデータセットを公開しています。中京大学橋本研究室Webページからダウンロード可能です。

中京大学工学部テニュアトラック助教 秋月 秀一

2016年中京大学大学院博士後期課程修了。2016年度日本学術振興会特別研究員(DC2,PD)。2017-2018年度慶應義塾大学理工学部助教,現在,中京大学工学部テニュアトラック助教。慶應義塾大学訪問助教(兼任)。博士(情報科学)。3次元物体認識技術の研究に従事。2012,2017年画像センシングシンポジウム優秀学術賞,2015年MIRUインタラクティブ発表賞等受賞。電子情報通信学会,精密工学会,IEEE各会員。

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