セミナーレポート

自分で考えるロボットの実現に向けてオムロン(株) 技術・知財本部 技術専門職 井尻 善久

本記事は、画像センシング展2018にて開催された誰にでもわかる特別講演を記事化したものになります。

製造業で求められる技術革新

 これからの製造業に求められているのは,超生産性と超柔軟性をかなえられるシステムへの技術革新です。現場ではいまだに少品種大量生産も残っていますが,労働人口の減少や発展途上国における賃金の高騰などにより,今まで人が行っていた工程を機械に置き換えていくことが求められています。一方,消費者志向の多様化により,自分仕様を求める傾向が高まっており,各社商品開発のバリエーションを生み出しています。そこでは,少品種大量生産から変種変量生産,一品一様生産へと向かっています。こうした中で,現状では様々な機器を必死につないでシステムを作り込んでいます。しかし,それでは専用化した機械ができあがるだけで,作るものが変わったり,作り方が変わったりすると,その都度作り込みが必要になり融通がききません。対象や作業に合わせて自律調整し,作るものや作り方が変わっても即応できるようなロボットに対する期待が高まっているのです。
 しかし,現状ではロボットも作り込みの世界になっています。様々なハンドや吸着パッドなど,対象に合わせて作り込みや調整が必要になるからです。作り込みの要素としては,ロボットの本体から周辺環境,ソフト/ハード全面にわたっています。ハードとしては,ロボットの選定からハンド設計・選定,ロボット本体には,ハンドの制御や調整,センサー動作,タイミング等の教示が必要になります。また,ソフトとしては,ロボットの動作手順の教示,干渉物等の教示が必要です。対象や作業に合わせてハードを作り込むと変化に弱くなります。したがって,ユニバーサルなハードと,それを自分で考え使いこなす知能が必要になっています。ロボットシステムには,対象や求められる作業に応じて,ロボットが自分で考えて動きを変更できることが求められています。
 自分で考えるロボットの第一歩として,自律ピッキング技術があります。これには,「自分でアームの動きを考える」ことと,「自分でつかみ方を考える」ことがポイントになります。今回,この2つの技術を紹介します。

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オムロン(株) 技術・知財本部 技術専門職 井尻 善久

2002年,京都工芸繊維大学大学院工芸科学機械システム専攻修士課程修了,同年オムロン株式会社入社。2012年,名古屋大学大学院情報科学研究科メディア科学専攻博士課程修了。2010年より奈良先端科学技術大学院大学客員准教授。人・顔画像処理・産業用画像処理,ロボティクスに関する研究開発に従事。2009年画像センシングシンポジウム高木賞,2009,2011年電子情報通信学会PRMU研究会研究奨励賞受賞。

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