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専用コンピューターによる電子ホログラフィー千葉大学大学院工学研究院 伊藤 智義

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 1990年代以降,写真はフィルムからデジタルカメラへと移行し,映像もアナログ放送からデジタル放送へと切り替わった。当時,3次元写真ともいわれるホログラムもデジタル化(電子化)されるものと期待された。しかし,ホログラムを電子化するための情報量は膨大で,今なお実用化に至っていないグランドチャレンジとして残されている。例えば,フルハイビジョンのモニターの画素数は200万であるが,同程度のサイズのホログラムに必要な画素数は1兆を超える。これほど膨大な情報量をリアルタイムで処理するシステムは現在でも存在していない。
 様々な計算高速化手法が提案されてきている中で,私たちの研究グループの特徴はホログラフィー計算専用のコンピューターハードウェアを開発し続けていることにある。ソフトウェアだけではなく,ハードウェアを含めたシステムによる高速化へのチャレンジである。
 1992年に1号機HORN-1を開発し,以降25年の歳月をかけて開発に成功したのが最新のHORN-8である(図1)。HORN-8は,内部回路を書き換え可能な大規模集積回路(LSI:Large Scale Integrator)であるFPGA(Field Programmable Gate Array)を1ボードあたり8個搭載し,ホログラムの計算を一度に4,480画素分並列計算する。HORN-8ボードを8枚用いてホログラフィー計算回路を35,840並列で動作させ,並列数に応じて計算速度が比例して高速化することを示した1)。通常の並列コンピューターでは,並列数を増やしていくと計算処理の速度よりもデータ間の通信速度が大きくなって,高速化が止まってしまう。HORNシステムでは,通信によるロスが生じず,回路の並列数に応じてホログラフィー計算の高速が可能である。そのことがHORNシステムの大きな特長になっている。
 図2はHORN-8システムによる電子ホログラフィーである。1,000万点で構成された3次元像(人工衛星)を1億画素のホログラムに記録して再生した。1枚あたり125秒かかっており,静止画ではあるが,世界最大規模の電子ホログラフィーである。動画では40万点の3次元像を200万画素のホログラムを用いてリアルタイム再生することに成功しており,こちらも世界最大規模となっている2)
 現在,HORN-8システムをさらにスケールアップしているところであり,電子ホログラフィーの実用化に向けて研究を続けている。

参考文献
1)T. Sugie, T. Akamatsu, T. Nishitsuji, R. Hirayama, N. Masuda, H. Nakayama, Y. Ichihashi, A. Shiraki, M. Oikawa, N. Takada, Y. Endo, T. Kakue, T. Shimobaba, T. Ito, “High-performance parallel computing for nextgeneration holographic imaging,” Nature Electronics, 1, 254–259(2018)
2)Y. Yamamoto, H. Nakayama, N. Takada, T. Nishitsuji, T. Sugie, T. Kakue, T. Shimobaba, T. Ito, “Large-scale electroholography by HORN-8 from a point-cloud model with 400,000 points,” Optics Express, 26, 34259-34265(2018)

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