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プロジェクション型シースルーホログラフィック3Dディスプレイ国立研究開発法人情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波応用総合研究室 涌波 光喜

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 「ホログラフィ」という言葉を聞くと,SF映画に登場する何もない空中に3D映像が浮かび上がる技術を思い浮かべる皆さんが多いかもしれません。実際のホログラフィ技術は光を再生する媒体が必要です。この媒体として空間光変調器(SLM)を用いてホログラムデータを表示し,入射光を回折させることで3D映像を再生する“ホログラフィック3Dディスプレイ”に関する研究が行われています。図1は,今回開発したプロジェクション型シースルーホログラフィック3Dディスプレイの再生像です。特定の観察位置に対して,ほぼ透明な光学スクリーンに浮かぶ3D映像を提示することができます。
 ホログラフィック3Dディスプレイの実用化に向けた一番の課題は,現状のSLMの空間的-時間的な解像度不足です。例えば,画素間隔4.8μm,解像度8K(7,680×4,320画素)のSLMを用いても,画面サイズは3.6×2.0cm,視野角は3.1度程度(波長532nmの場合)にしかなりません。さらに,両パラメータはトレードオフの関係を持つため,これまで実用的なディスプレイ設計が困難でした。本技術は,SLMで再生したホログラム映像を拡大投影するホログラフィックプロジェクション技術と,投影された光を任意の観測位置に集光する光学スクリーン(図2)によって,観察位置は制限されますが,画面サイズと視野角をSLMの解像度から独立して自由に設計することができます1)。実験では,ホログラフィックプロジェクタで利用するSLMと比べて,画面面積が4倍,視野角が20度のホログラム映像の表示を実現しました。この光学スクリーンは,情報通信研究機構で開発した波面印刷技術で作製したDDHOE(Digitally designed holographic optical element)を用いています。波面印刷技術はデジタルに設計した光波分布を体積型ホログラムとしてほぼ透明なフィルムに記録することができます。今回のような光学スクリーンの製造技術としてだけでなく,3次元データの可視化技術としての応用も期待できます(図3)。本技術は,今後フルカラー化やホログラフィックプロジェクタの小型化を実現することで,車載ヘッドアップディスプレイやスマートグラス,透過型ヘッドマウントディスプレイへの応用が期待できます。
 なお,本研究の一部は,JSPS科研費(26790064,16H01742)の助成と総務省SCOPE(162103005),文部科学省COI STREAMの委託を受けたものです。

参考文献
1)K. Wakunami, et al., “Projection-type see-through holographic three-dimensional display”, Nature Communications, 7, 12954(2016). doi:10.1038/ncomms12954

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