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遊び心で作った世界で一番難しいジグゾーパズル(株)鬼塚硝子 齋藤武志

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 会員からの提案を,そのアイデアに賛同する人の数が,既定以上に達すると実現してしまうというサイトがある。そこのプロデューサーである内田氏から,今回のパズルの企画を頂いた。それがガラスのジグゾーパズル(図1)である。正直,今までにない依頼のため少々戸惑った。
 株式会社鬼塚硝子は,名前のとおり硝子の加工屋である。1/100mmの精度で硝子加工をする,超精密加工を売りにしているが,そのほとんどが理化学,医療用途である。しかし硝子の加工のほかに,封じ切型小型炭酸ガスレーザー発振器の開発・製造販売を行なっている部署があり,私に話が来たということは,たぶんレーザーで切断すればよいという発想からあったからだと思われる。
 事実弊社では石英はもちろん,パイレックス硝子のレーザーによる切断を行なっており,チッピングの無い硝子の切断は得意としている。とはいっても弊社の切断対象は,パイプであり板ものの切断は経験がなく設備もない。
 ご存知のように石英以外の硝子(ソーダ石灰硝子,ホウケイ酸硝子など)の切断は,困難とされている。石英の膨張係数5.5 ナ 10ミ7/Kに対し,ソーダ石灰硝子は9.8 ナ 10ミ6と一桁以上大きく,よって歪みが発生しやすい。レーザーを照射することにより生じた熱勾配が硝子内部での張力を生み,硝子のもつ引張り強度を超え破壊へとつながることから,通常のレーザー加工装置による硝子の切断は不可能であることがわかる。弊社のパイプの切断機も,付帯設備を独自で設計し,使用することで実現できている。
 通常のレーザー切断装置では,ガラスの切断は対応できないが,かといってこのために他社が所有しているレーザー切断装置を,改良するわけにはいかない。そこで思いついたのが,ウォータージェットでの切断である。
 レーザー切断とウォータージェットでの切断の違いは,レーザーでの切断では切断面が透明に仕上がるのに対し,ウォータージェットでの切断では切断面がザラザラになってしまうことである。硝子の観点から言うとザラザラすなわち傷の集合体であり,衝撃により割れる可能性が高くなることを意味する。そこで切断されたピースの切断面を1個1個ガスバーナーで焼き,透明にする作業が加わった(図2)。
 そして完成されたのが,硝子のジグゾーパズルである。世界で一番難しいといういわれは,もちろん裏表が分らないということからきている。
 このジグゾーパズル,発送時には当然のことながらバラバラで梱包をしている。最大の300ピースを購入した人の何人が組み立て終わったのかは把握していないが,写真のものが,存在する唯一の完成品なのかもしれない。

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