画像センシングの最前線

QoL(Quality of Life)向上のための画像センシング技術慶應義塾大学 青木 義満

2. QoL向上のための画像センシング・パターン計測事例

2.3 食の健康を支える画像センシングシステム

 健康で充実した生活には,豊かな食生活は欠かせない.いつでも,いつまでも美味しく食事を採りたいというのは人間の基本的な欲求であり,それを工学技術の面からサポートする試みがなされている. Foodlog*[4]というシステムでは,健康管理のための食事記録という手間のかかる作業を,スマートフォンで撮影した食事写真を利用し, 画像認識・検索技術で健康管理を支援する新しい食事記録の仕組みを提供している.
図3.画像センシング技術による食事記録支援システム FoodLog

図3.画像センシング技術による食事記録支援システム FoodLog

食事写真から画像特徴を解析することで,「食事バランス」を自動で判定する機能を実現しており,「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」といったグループ分類に基づき,食事バランスの分析が可能である.さらに,スマートフォンで稼働するFoodLogでは,食事の品目名といったより詳細な食事記録を画像検索で支援している.単なる食事管理,健康支援システムとしてでなく,日々の食生活を楽しく豊かにするためのシステムとして,多数のユーザが参加し,現在100万件を超える食事記録が収集されている.システムの実運用に伴い,大量の食事画像を含む食事記録データが蓄積されることで,画像認識における機械学習の精度,システム性能も向上していくという好循環が生まれている.今後,更なる応用展開が期待されている.<次ページへ続く>

*[4] http://www.foodlog.jp

慶應義塾大学 青木 義満

群馬県高崎市生まれ。
1996年早稲田大学理工学部応用物理学科卒業、2001年、早稲田大学大学院博士課程 理工学研究科物理学及応用物理学専攻修了。博士(工学)。
早稲大学理工学部助手、芝浦工業大学工学部情報工学科助教授を経て、2008年より慶應義塾大学理工学部電子工学科准教授。
2013年より、株式会社イデアクエストの取締役を兼任し、慶應理工発画像センシング技術の医療分野での実用化を目指している。専門分野は知覚情報処理・知能ロボティクス、メディア情報学・データベース、計測工学、医用システムなど。

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