セミナーレポート

次世代液晶プロジェクタ組立調整ロボットの開発~人感性に迫る画質・光学調整技能の自動化~NECグリーンプラットフォーム研究所 野崎 岳夫

本記事は、国際画像機器展2014にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

■作業時間を短縮し,習熟に影響されない安定した品質を確保

 フォーカス調整では,例えば液晶パネル上の1260×768画素の一つひとつを虫眼鏡と考えると,パネルの状況を調整するためには,集光の最大化や,映像ボケの抑制,隣接画素への影響抑止が重要になります。ベストフォーカスをいかに定量化するか。技術的には,集光による焦点感度の探索と,集光特性のマッチング処理による超高感度フォーカス調整を行っています。幾何光学によって,Z軸のファーカス探索のみで全軸のパネル角度補正値を一意に決定。これにより,30%以上のフォーカス調整の高速化を実現しました。
 コンバージェンス画素調整では,画像認識と連動したモーションプランニングを採用。パターン位置相関値と,光学特性関数から優先すべき次動作を探索。行動シナリオを組み合せ,パネル姿勢より最適な光軸選択,フォーカス探索の動作計画を実行します。また,光学部品の組み合わせや光源の経時変化による明るさ変動に対し,色分離・正規化処理によりロバストな安定位置決めも実現しました。さらに,固着ズレ量を予め見込んで調整直後にパネルを移動し,接合工程を実施するということも行っています。
 導入効果としては,従来設備の手動接合機で7.5分かかっていた調整平均時間が3.5分以下になり,工数を40%削減しました。また,実操作タイムが6分から1.5分になり,作業効率が向上。操作にかかりきりだった状態から,他作業取り込みも可能になりました。標準習熟期間は3カ月から3週間に短縮。さらに,疲労や個人差による品質バラツキが低減し,品質が大きく向上しました。
 今回,我々が開発したものは,スキルレス自律ロボットとしての本質を追求したものでした。単なる作業の自動化設備ではなく,従来曖昧だった人の判断を有する調整作業を定量化・自動化し,作業の大幅な効率化を実現。手動設備では対応不可能な1画素7μm,パネルサイズ0.55インチ以下を見据えた将来の高精細LCDパネルの組立・接合にも対応しています。今後は,レーザー,LEDなど新光源への対応や,更なる生産性向上に向けた画質調整高速化技術の開発を目指していきます。

NECグリーンプラットフォーム研究所 野崎 岳夫

※所属は発表当時。現在は情報・メディアプロセッシング研究所に所属。

1987年,日本電気株式会社入社。同社,生産技術研究所においてレーザー,画像認識を応用した組立・検査装置の研究開発に従事。1991年~1992年 米国スタンフォード大学ロボット研究所客員研究員。中央研究所異動後は,主としてカラー表示デバイス,プロジェクタ製品向け画像処理および,画質調整ロボットの研究開発に従事。日本ロボット学会正会員。

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