セミナーレポート

歩容認証:歩き方の個性に基づく個人認証大阪大学 産業科学研究所 准教授 槇原 靖

本記事は、国際画像機器展2017にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

人における歩容

 あまり馴染みのない言葉だと思いますが,「歩容(歩様)」というのは,動物(ヒトを含む)の歩行パターンのことです。4足歩行の馬の場合では,スピードによって,常足(なみあし),速足(はやあし),駆足(かけあし)というように歩容が変わっていきます。
 人の場合は2足歩行動物ですから,それほどバリエーションがないように思えますが,様々な情報が含まれていることが生体運動学の分野で示されています。人物の関節に点光源をつけた単純なスティックモデルでも,男性らしい歩き方や女性らしい歩き方といった性別をはじめ,体重の重い人や軽い人の歩き方といった体格,悲しげな歩きや楽しげな歩きといった感情なども歩容から読み取れます。また,人物のシルエットからおおよその年齢が推定できますし,腕を前後に大きく振る人や,猫背気味に歩く人,歩行のピッチの速い人など個性も表れます。
 歩容認証は,これら姿勢の違いや歩幅の違い,腕の振りの大小,肩掛け鞄などを決まった側で持つことによって習慣付いた動きの左右非対称性などの特徴を使い,個人を認証する技術です。現在,生体情報による認証には,指紋認証をはじめ,顔認証など様々なものがありますが,歩容認証では人が歩いている映像をもとに2つの映像の人物が同一人物かどうかを判定します。歩容認証の特長は,対象人物が遠方にいて画像上に非常に小さく映っていても利用することができ,対象人物がマスク,ヘルメットなどで顔が見えない状況においても利用することができるところにあります。そのため,犯罪捜査支援等への活用が期待されています。海外での事例として,防犯カメラに映った強盗犯に対する歩容認証が実施された例があり,イギリスの法廷で証拠として採用されています。

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大阪大学 産業科学研究所 准教授 槇原 靖

2001年 大阪大学工学部応用理工学科卒業。2002年 同大学大学院工学研究科電子制御機械工学専攻博士前期課程修了。2005年 同専攻博士後期課程修了。博士(工学)。同年同大学産業科学研究所特任助手,2006 年同研究所助手,2007年 同研究所助教,2014年 同研究所准教授となり現在に至る。サービスロボットのための対話的な物体認識,犯罪捜査やディジタルエンターテインメントのための歩行映像解析に関する研究に従事。

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