セミナーレポート

高速画像処理、実現への道東京大学 石川 正俊

本記事は、国際画像機器展2010にて開催された特別招待講演 プレインタビューを記事化したものになります。

閉塞感漂う産業界で、「もっと高速」という考えは波及効が大きいと思いますが

 そうです。半導体や計測、光の分野ではいろいろなことができるようになったのに、現在残っているリスク要因は、実は「人間」ではないのでしょうか? 今や、そのようなことにならない新しい科学技術の基盤構造を考えるべき時に来ているのだと思います。半導体や光技術、計測に求めるべき目標仕様は、本来、そこに現れている物理現象にあわせて考えることが正しいのです。すべての現象の情報が取れれば、機械が扱うのは物理現象のみの世界だから、使う側と使われる側のダイナミクスを合わせたうえでシステムを組むべきなのです。その時には、計測系が物理系をカバーするダイナミクスを作ることが基本になるでしょう。この物理系を理解して、時間分解能と空間分解能をドンドン上げていけば、人間だってこの情報が必ず欲しくなります。
 半導体や計測屋さんは、どこまでできるか自ら示すことが重要です。そこのマーケットを開拓すれば、高速・高分解能というニーズも掘り起こすことができます。その努力をせずに、今あるニーズと今あるやり方だけから考えていたのでは、技術の行く末はないのかもしれません。
 ものづくりでは仕様を決める人と使う人が本来同じでなければならないのに、決められた仕様をユーザーに押しつけるという慣習が画像処理の世界でも横行してきました。「1/30秒のカメラがあるのだから、それを使いましょう」というのが、まさしくそれです。そして皆、そういうものだと思い込んでしまいました。その思い込みがマーケットを狭くしてしまったのです。基本に立ち返って考えれば、まったく違う世界も見えてくるのではないでしょうか。

東京大学 石川 正俊

1979年東京大学大学院工学系研究科計数工学専門課程修士修了。同年通商産業省工業技術院製品科学研究所入所。1989年東京大学工学部計数工学科助教授,1999年同大学工学系研究科計数工学専攻教授,2002年同大学総長特任補佐,2004年同大学副学長,2005年同大学理事・副学長,同年同大学情報理工学系研究科創造情報学専攻教授。現在に至る。工学博士。日本ロボット学会,計測自動制御学会,応用物理学会,日本機械学会等から,論文賞,技術賞,業績賞など多数受賞。計測自動制御学会および日本ロボット学会フェロー。
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