画像センシングの最前線

社会の安全安心を支える画像認識技術NECデータサイエンス研究所 佐藤 敦

事件・事故の兆しを発見する映像監視ソリューション

 次に,映像監視の例を3つ紹介したいと思います。1つめは,新興国でのオートバイ認識です。住民や観光客双方にとって,より安全安心な街をつくるために,アルゼンチンのティグレ市では,NECの高度な映像監視ソリューションを活用した「街中監視システム」を導入しています。ティグレ市内に設置された800台のカメラで撮影された映像をリアルタイムで解析,ひったくりなどの犯罪につながるオートバイの2人乗り運転やノーヘルメット運転を見つけ出し,アラートを上げる仕組みを構築しています。現地での反響も大きく,ティグレ市長もメディアを通じて安全安心をアピールしています。
 2つめは,ナンバープレートの超解像技術です。監視カメラで捉えたナンバープレートの画像は低解像なことが多く,人間が見ても数字を認識できないことがあります。そこで学習型超解像という技術を開発。これは,あらかじめ多数の高解像なナンバープレート画像を用意し,各数字が低解像度になった場合にどのようなドット表示になるかを学習して辞書に登録,これをもとに高解像な画像を復元するものです。監視カメラなどに映ったナンバープレートの画像を鮮明に拡大でき,1枚の低解像な入力画像からでも車両の絞り込みが可能になります。
 3つめは,群衆行動解析技術です。これは,公共空間や大型施設において,防犯カメラなどで撮影された群衆映像から混雑状況を把握するとともに,異変を検知するものです。特定の人物が起こした事件・事故につながる異変が,その周りの群衆の行動に影響を与えるという点に着目し,通常の動きとは異なる「群衆全体の動きの変化」を捉え,解析を行います。実際に,豊島区の総合防災システムにこの技術が導入されています。
 NECでは,人やモノの動きや変化を深く丸ごと理解することで,未来に起こり得る事件や事故の兆しを発見し,安全安心な社会を実現していきたいと考えています。そのためにも,今後,画像認識処理の全体最適化をさらに進めていければと思っています。

NECデータサイエンス研究所 佐藤 敦

1989年東北大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士。同年NECに入社,パターン認識,機械学習の研究開発に従事。郵便区分機向け文字認識や顔認証エンジンNeoFaceの開発にも携わる。1994~1995年米国ワシントン大学客員研究員,2008年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員。2014年度全国発明表彰発明賞,2012年度電子情報通信学会業績賞,2012年度関東地方発明賞神奈川県知事賞,2011年度先端技術大賞「フジサンケイビジネスアイ賞」,2010年度情報処理学会喜安記念業績賞,2009年度人工知能学会現場イノベーション賞銀賞受賞。

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