サンゴに取り込まれたマイクロプラスチックの可視化手法を確立海洋研究開発機構(JAMSTEC),英国サウサンプトン大学
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海洋研究開発機構(JAMSTEC)などのグループは、サンゴの体内に取り込まれたマイクロプラスチックを、取り込まれたそのままの状態で迅速に可視化することに成功した。サンゴは、“年輪”のような成長層を伴い骨格を成長させるため、マイクロプラスチックが骨格に取り込まれた位置から年代を推定でき、汚染の変遷をたどることができる。これらの分析にはフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)やラマン分光分析手法などが用いられるが、測定は非常に長時間で、サンゴに取り込まれたマイクロプラスチックを広い範囲で面的に調べるのは困難であった。
そこで今回、生きた細胞中の成分などを迅速に可視化する技術として主に用いられているCARS・TPEF複合型顕微鏡法を応用し、サンゴ体内に取り込まれた数μmサイズのポリエチレン(PE)粒子の三次元的な可視化に成功した。この手法では、標的の物質をサンゴの骨格や組織と明確に分離して取得できるだけでなく、従来手法で1点の計測にかかっていた数秒の間に、106(100万)点以上もの計測が可能である。本研究では、PE粒子が高濃度に含まれる環境で飼育したサンゴ(Acropora polystoma)に取り込まれたマイクロプラスチックを定量的に分析した。過去の研究から、健康なサンゴの組織にはマイクロプラスチックが取り込まれにくく、白化が見られるサンゴの組織に蓄積しやすいことが示されている。本研究によって、白化や組織欠損の兆候が見られたサンゴには、組織にくわえて骨格にもマイクロプラスチックが集中して蓄積することを確認した。
本成果は、マイクロプラスチックの迅速な検出技術を提案するとともに、サンゴ骨格を海洋プラスチック汚染変遷のアーカイブとして活用する道を大きく開き、海洋プラスチック汚染の長期的な影響評価に貢献するものである。










