広帯域X線対応タイコグラフィ装置を開発東北大学
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X線タイコグラフィは、非破壊かつ高解像度の観察が可能な手法として注目されるが、同一の装置でテンダーX線から硬X線領域まで測定できるシステムはこれまで存在していなかった。東北大学のグループは、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuのビームラインBL10Uを活用、テンダーX線から硬X線領域にわたる広帯域での高分解能X線タイコグラフィ装置の開発に成功した。
本システムでは、NanoTerasuの高輝度かつ高コヒーレンスなX線に加え、色収差・コマ収差のない高効率な全反射集光光学系および、テンダーX線から硬X線まで対応可能な高速積分型X線画像検出器CITIUSを組み合わせることで、集光ビーム位置を変えることなくエネルギーを連続的に掃引しながらの測定が可能となった。これにより、従来困難であったテンダーX線と硬X線領域をまたいだX線タイコグラフィ測定を初めて実現した。実証実験として硫酸カルシウム試料に対し元素吸収端近傍でのエネルギー走査を行い、ナノメートルスケールでの構造と化学状態の同時可視化に成功した。この成果は、電池材料、触媒材料をはじめとする高度な機能性材料のナノスケール解析と開発を加速するものとして期待される。










