浮上ローターが切り拓く、古典・量子物理学のための超精密センサー沖縄科学技術大学院大学(OIST)
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物体を浮遊させることは、外乱遮断に有効で、特にローターで役立つ。重力や空気圧、物体の動きなどの測定で使う回転の力(トルク)や回転の勢い(角運動量)は、摩擦により左右されるからだ。ローターは古典物理学と量子物理学の両分野において、重力、気体の圧力、運動量など、種々の測定に用いられる。今回、沖縄科学技術大学院大学のグループは、摩擦の影響をほぼ除いた、マクロ的(巨視的)立場の浮上装置を設計・製作・解析し、精密工学により浮遊を現実とした。
ミクロ(微視的)研究で利用される光学式または電気式の浮上装置は、極めて高度な環境や装置を要する。一方、常温磁気浮上を利用したマクロの磁気浮上システムは、構造がシンプルで環境への耐性も高い。そのため、実用的な重力測定や、量子物理学と古典物理学の境界領域における基礎研究にも適する。しかし従来、これらの装置は、渦電流による減衰により開発が阻まれてきた。
この度、同チームは、直径1センチの円盤と数個の希土類磁石を用いて、軸対称性のおかげで渦電流による減衰がまったく生じない反磁性浮遊ローターを実験的に実証、理論的にも証明した。ローターの回転を十分に遅くできれば、その運動は量子領域に入り、量子研究の新たなプラットフォームとなる可能性がある。










