液晶と高分子の複合材料で生じる新しい電気流体現象九州大学
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高分子の細かい網目構造の中に液晶を閉じ込めると、「高分子ネットワーク液晶」ができる。この材料は、電圧で透明と不透明を切り替えるスマートガラスや、高速応答のディスプレイなどへの応用が実現されてきた。しかし従来の研究は、主に材料化学として静的な性質に注目しており、電圧を加えた際に生じる流れの構造や電流など、動的な物理現象は十分に理解されていなかったが、この動的な現象の解明は、新しい液晶応用の可能性を広げることが期待される。さらに、液晶を「小さな流体実験室」として利用することで、他分野の現象を理解する手がかりにもなり得る。
九州大学のグループは、高分子ネットワーク液晶に電圧を加えて流れを起こす実験を行いました。その結果、液晶が高分子の細かい網目構造に閉じ込められると、電圧をかけたときに現れる流れの模様がゆがみ、動きが遅くなること、さらに電流が流れにくくなることを明らかにした。そして、高分子ネットワークが密になるほどこれらの傾向が強まることを示し、この複合材料が「多孔質媒体」として振る舞うことを初めて実験的に示した。
この発見は、現在さまざまな側面から研究されている、液晶を利用した新しいポストディスプレイ技術の開発に役立つことが期待される。今後は、材料内部の構造観察と組み合わせることで、より詳細な理解が進むと考えられる。










