シリカが示すキラル光学信号増幅の起源―シロキサン環構造がもたらす自発的キラル光学信号増幅の機構解明―京都大学
-
京都大学のグループは、シロキサン環構造の立体配座に着目し、シリカのキラル光学信号の発現と信号増幅の起源を明らかにした。シリカ材料は非晶質であり分子構造評価は困難なため、シリカが赤外領域のキラル光学信号(VCD信号)を示す理由は未解明であった。本グループは、ゾルゲル法にて合成したヘリカルナノシリカを1000度まで加熱し、重量減少を伴わない形状収縮と顕著なVCD信号増幅(熱誘起VCD信号増幅)が同時に起こることを見出した。量子化学計算により、シリカの大きなVCD信号はシロキサン環構造のキラルな配座異性体に由来することや、平坦な環よりも捻れて収縮した環の方が安定であることを明らかにし、熱誘起VCD信号増幅はエンタルピー駆動型の自発的な非対象環歪みに由来することを解明した。得られた成果は、非晶質系のキラル光学材料の設計や高分子材料の構造緩和挙動の理解への貢献が期待される。










