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生きた臓器細胞や生物の微細構造と「動き」を電子顕微鏡でそのまま観察する技術を開発中部大学

 中部大学の研究グループは,濡れた臓器などの液中試料の構造と「動き」をそのまま走査型電子顕微鏡で観察する技術を開発したと発表した。
 電子顕微鏡は分解能が最大0.5 nm程度と高いため,小さいスケールの観察に適している。しかし,真空下にて観察を行うため,観察する試料は水分が蒸発しないように固定処理をする必要があった。そのため,これまでの電子顕微鏡観察では基本的に固定試料の静止像計測しか出来ないという難点があった。本研究では,生きた細胞の微細構造と動きをそのまま観察できる新しい電子顕微鏡技術を開発した。真空と大気圧の圧力差にも十分に耐えて破れず,電子線透過性と変形性に優れた薄膜(DET膜:Deformable and Electron Transmissive Film)を作製した。このDET膜で濡れた臓器などの観察試料を覆い,サンプルホルダーとで密閉空間を作ることにより,溶液に浸かった観察試料の微細な構造と「動き」の電子顕微鏡観察に成功した。さらに,画像解析を組み合わせることで「動き」の計測も可能になる。以下,この計測手法をDET膜法と呼ぶ。
 今回開発したDET膜法は,DET膜の電子線透過性と変形性を利用することで,観察試料の形状にDET膜が倣い,マクロな試料の形状も,微細な試料の形状も,DET膜越しに観察可能にした。観察試料に直接当たる電子線の量をDET膜が抑制して保護することも,観察試料の動きを計測するために有益な性質である。また,DET膜を大きく変形させることができるため,同じ倍率の光学顕微鏡の数十倍深い焦点深度で立体的な試料の観察ができる,走査型電子顕微鏡の性質を活かした構造と「動き」の計測ができる。
 DET膜法で計測する動きは,観察試料が自ら生み出す動きだけでなく,こちらが与えた引っ張るなどの動作に対する変形でも構わない。動物の剥製を眺めるだけでは,動物への理解を深めるのに限界があるように,このDET膜法によるダイナミクス計測により,様々なナノスケールダイナミクスの計測を可能にすることが期待される。

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