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水の構造をめぐる分光の解釈に決着 ~軟X線発光スペクトルの正しい解釈に向けて~広島大学,ルンド大学,東京大学

 広島大学,ルンド大学,東京大学の研究チームは,水の軟X線発光スペクトルを理論的に計算し,その温度依存性および同位体依存性を正しく説明することに成功したと発表した。
 同チームは15年ほど前に各種X線分光法を用いた水の研究を開始し,2状態モデルとしての水の解釈がもっとも確からしいことを示してきた。しかし,同じ軟X線発光分光法で得られた同様のスペクトルを,2状態モデルで解釈する研究者と連続帯モデルで解釈する研究者の間で議論が絶えず,結論は出ていなかった。軟X線発光が複雑な散乱過程に由来するため,実験で得られたスペクトルからそのまま構造を決定することが困難だった。
 今回,液体の水の軟X線発光スペクトルを理論的に再現するために,まず分子動力学法に基づいたコンピューターシミュレーションでさまざまな温度の水の分子レベルのモデル構造を構築した。得られたモデル構造から部分的な構造を多数切り取り,分子中の電子の挙動を計算する密度汎関数法に基づく第一原理理論計算を用いて軟X線発光スペクトルの計算を行った。今回の研究では,実験で観測されている主要な2つのピークを理論的に再現することに成功した。さらに,これら2つのピーク強度の温度依存性,同位体依存性を再現することに成功した。本研究は,軟X線発光スペクトルの2つのピークが本質的に異なる水素結合様式から出てくるものであり,2状態モデルによる解釈が妥当であることを示している。
 今回用いた手法は普遍的であり,さまざまな環境における水の構造論に応用できる。水の中に2つの水素結合様式があるということは,そのサイズや生成消滅の時間スケールに応じて異なる物性をもつ水の状態が共存することを意味するので,純水だけでなく,界面,水溶液,高分子電解質中の水の構造とその機能に関する新たな議論も進むことが期待される。

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