伊賀健一氏が光工学功績賞(高野榮一賞)を受賞伊賀健一

 東京工業大学名誉教授の伊賀健一氏が,第4回(2020年)光工学功績賞(高野榮一賞)を受賞した。伊賀氏は,垂直共振器面発光レーザーの発明者として国内外に広く知られている。面発光レーザーは現在では,高速光ファイバーやデータセンターなどの光通信や,レーザープリンター,マウス,最近ではスマートフォンの顔認証システムなどのレーザー光源に使われている。伊賀氏はこの業績により2005年度第6回応用物理学会業績賞(研究業績)を受賞されている。
 しかし,伊賀氏は光工学の分野でもう1つ重要な貢献を果たしている。それは,我が国に微小光学という研究分野を創設し,その発展に寄与したことである。微小光学における伊賀氏の研究業績は,分布屈折率平板マイクロレンズアレイなどの光学素子の開発が挙げられる。これは,面発光レーザーアレイと組み合わせて2次元並列光情報処理をめざす研究で,その後のマイクロレンズ技術の発展に大きく寄与した。また,応用物理学会に微小光学研究グループ(現:微小光学研究会)を設立し,30年近く代表を務め,研究会や国際会議を企画運営し,微小光学の基礎と応用に関する研究開発の啓蒙活動に重要な役割を果たしてきた。
 さらに伊賀氏は,日本学術振興会理事,電子情報通信学会会長,東京工業大学学長などの要職を歴任し,我が国の科学技術振興や若手研究者・技術者の育成に尽力された。以上の長年にわたる功績は,光工学の発展,関連する多くの産業の創出,若手人材育成に大きく寄与すると評価され,光工学功績賞の受賞が決定した。
 光工学業績賞・功績賞(高野榮一賞)は,高野榮一光科学基金の新しい事業として2017年度に設立された。「光を利用した機器・部品開発や計測技術,光の制御・操作技術など,光技術・光科学の発展にインパクトのある応用が期待される優れた研究開発」の業績を称える業績賞と長年の功績を称える功績賞の2種類がある。

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