デュアルコム分光法を利用した磁気光学効果測定装置を開発電気通信大学とネオアーク(株) 研究グループ

 電気通信大学とネオアーク(株)の研究グループは,科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「美濃島知的光シンセサイザプロジェ クト」において,デュアルコム分光法を利用することにより,磁気光学効果測定装置の性能を従来に比べて大幅に向上させることに成功したと発表した。
 デュアルコム分光法とは,精密に制御された超短パルスレーザーである光周波数コム(光コム)を2つ使う新しい分光法で,従来のフーリエ分光法に比べ,分解能,感度,測定時間などの点で非常に優れている。デュアルコム分光法は,主に気体の分光分析に利用されているが,プロジェクトはデュアルコム分光法による固体物性評価技術の開発に成功し,さまざまな物性測定の原理実証を行ってきた。
 その成果を実用化するための第一歩として,磁性材料の特性評価に必要な磁気光学効果測定装置の開発を進めてきた。そのプロトタイプ(原型機)の光学系や信号検出系などの完成度を高め,従来の測定方法を大幅に上回る測定性能を実現した。主な性能としては,磁気光学効果測定分解能0.01度,波長分解能0.01 nm,各波長成分の一括測定による高速測定を達成し,実用化に向けて大きく前進した。測定システムは卓上型で,測定装置本体,デュアルコム光源,コントローラーから構成されており,発生磁場は最大で±10キロエルステッドである。
さらに,上述の固体物性評価技術をもとに,固体の複素屈折率を測定する装置の試作機を開発した。固体材料を通過した光の強度比だけでなく,位相差も測定できることが大きな特長である。
 磁気光学効果測定装置のプロトタイプと,複素屈折率測定装置の試作機は,精密な偏光・分光測定や材料開発などの新ツールとして活用されることが期待される。

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