太陽光エネルギーを水素へ高効率に変換理化学研究所社会知創成事業イノベーション推進センター,東京大学
自然エネルギーを用いた電力インフラでは,天候などによる発電量変動を十分に制御することが難しく,必要な時に必要な量のエネルギーを供給可能にするためのエネルギーの貯蔵方法が必要とされていたところ,研究チームは,光合成と同じように光エネルギーを利用してエネルギー源を貯蔵するシステムを開発し,フレネルレンズを用いて集光するタンデム型太陽電池を電源とする水分解電気化学セルで水素を発生させ貯蔵することに成功した。また,太陽電池の直列接続によって水の電気分解可能な電圧まで電圧を高めるとともに,もっともエネルギーロスの少ない接続方法を検討した結果,太陽光エネルギーから水素への変換効率を15.3%まで高めることに成功した。
今後,太陽電池~電気化学セルというシステムの中核部分だけでなく,水素貯蔵法や,全体を流れるエネルギー,電流,水,排熱のロスといった周辺部分の最適化など,さまざまな試みをして,実用的なシステムとすることが期待されている。