航空機用構造材料(CFRP)の破壊はどこから始まるか高エネルギー加速器研究機構 研究グループ

 高エネルギー加速器研究機構の研究グループは,航空機の機体や翼の構造材料として用いられている炭素繊維強化樹脂(Carbon fiber reinforced plastic:CFRP)複合材料内に,き裂が発生・進展する様子を放射光X線顕微鏡を用いて空間分解能50 nm程度で観察することに成功したと発表した。
 CFRP材料は,その特性の高機能化や製造プロセスの容易化・高度化等の研究が進められている高機能材料である。CFRPは小さなき裂が発生してもそれが致命的なサイズに進展しなければ材料全体として安全に使用できる材料であり,き裂発生や進展のメカニズムはCFRPを安全に使うために不可欠な情報である。CFRP内のき裂の観察(モニタリング)は,材料内部まで探査可能な超音波や放射線を用いて広く行われているが,その空間分解能は数mm程度に限られる。高空間分解能での測定には,光学顕微鏡,電子顕微鏡等が用いられるが,測定が材料の表面もしくは薄膜(<1 μm)に限定されるため,実際の材料内部で生じるき裂の発生を観察するのが困難であった。そこで,試料の透過能が高いX線・放射光を用いたX-CT法による観察が活用されてきたが,その分解能も数μmが限界であった。
 本研究では,X線を集光・結像する光学素子を活用したX線顕微鏡を用いて,従来のX-CT法の空間分解能を20倍以上高めた。また,CFRPは,炭素繊維と樹脂という密度差が小さい2つの材料から構成されており,従来の吸収法では明瞭な像が得られないという課題があった。そこで,密度差だけでなく界面を強調して測定することが可能な位相コントラスト法を用いて明瞭な像を得て,さらにその画像回復と解析に工夫を凝らして,明瞭な3次元像を得ることに成功した。これにより,CFRP材料の高機能化のために必要となる基礎的情報を提供することが可能であり,航空機産業の材料分野への貢献も期待される。

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