原子スケール空間の巨大電場で操る非線形な光発生現象分子科学研究所,総合研究大学院大学
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分子科学研究所のなどの研究グループは、物質に生じる非線形な光学応答の効率を、外部からの印加電圧によって操作可能とする新しい手法の開発に成功した。原子スケールで探針位置を制御可能な走査トンネル顕微鏡(STM)では、金属探針と金属基板の間に数Å(オングストローム、100億分の1m)級の非常に小さなギャップを形成できる。今回、この微小なギャップ空間に非線形な光学応答を示す物質を閉じ込め、±1 Vの範囲で探針と基板間に電圧を印加しながらフェムト秒パルスレーザー*を照射したところ、閉じ込められた物質から得られる第二高調波発生(SHG)**の光の強度がおよそ2000%程度変調されることを見出した。さらに、この巨大な電気的変調効果は、物質に照射する光の波長にほとんど依存せず、可視光から近赤外光、さらには中赤外光までの広い波長領域において有効に生じる現象であることも確かめられた。
本研究は、オングストロームスケールの金属ギャップが物質の非線形光学応答を制御するために有用なプラットフォームであることを世界で初めて示すもので、原子スケールの超小型サイズで動作する次世代光エレクトロニクス技術の開発に向けた基礎学理を提供する重要な成果である。
*フェムト秒(1000兆分の1秒)単位の非常に短い時間だけ光を発することのできるレーザーシステム
**物質に強い光を入射した際に入射光の2倍の周波数(すなわち半分の波長)を持つ光が発生する現象。非線形光学応答の一種。









