セミナーレポート

VR2.0の世界 -AR/VR技術の現在過去未来東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 廣瀬 通孝

本記事は、ビジュアルメディアExpo2018にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

VR教育研究センター

 技術的な周辺環境が変わってきている点では,昔はヘッドマウントディスプレイ(HMD)も単体でした。そこでは,HMDで360度見回せるときに,映像をどうやって作るのかが課題でした。昔はプログラマーがプログラムしなくてはいけませんでした。しかし,今は,リコーの全天球型カメラTHETAなどを使い,360度の動画が簡単に撮れるようになっています。また,グーグルのTangoプロジェクトでは,スマートフォンで360度の3D映像空間が撮れます。さらに,グーグルのライトフィールドVRでは,多数のカメラによって空間内の光線配置を記録し,実写空間のインタラクティブな体験ができます。高い臨場感の映像をインタラクティブに体験する技術基盤は揃いつつあります。
 2018年2月,東京大学では,全学組織で連携研究機構「バーチャルリアリティ教育研究センター」を立ち上げました。教育システムの中にVRをどのように持ち込むかをセンターのミッションにしています。そこで設置予定なのが,1つ目は「招き入れる」研究としてのバーチャルリビングラボです。生活空間を模した実験空間に,研究者だけでなく,使い手である生活者やサービス提供者などのステークホルダーが一堂に会し,新たなシステムやサービスを共創していきます。2つ目は,「見せる」研究としてのバーチャルフィールドラボです。研究者が生活空間に出て行き協創をすることで,現代美術館や鉄道博物館,科学未来館などの博物館と連携し,VRを体験してもらう試みを行っています。
 VRというと,技術者は五感に相当するディスプレイを作らなければいけないと考えます。しかし,それは実用化が難しい。そこで,疑似触感の研究を始めた研究者がいました。例えば,マウスを動かすとカーソルが同時に動きますが,そこで急にカーソルの動きを止めると手に力が入ります。このようにカーソルの感度を変えれば,バンプを乗り越えた感覚が得られます。力学を発生させるために力学のディスプレイはいらないことを発見したのです。こうした心理学のイリュージョンを使えば,五感的なものをハードウェアに頼らずに実現できるようになります。これも最近のVR技術の特徴です。

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東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 廣瀬 通孝

1982年3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。同年東京大学工学部講師,1983年 東京大学工学部助教授,1999年 東京大学大学院工学系研究科教授,東京大学先端科学技術研究センター教授,2006年 東京大学大学院情報理工学系研究科教授,現在に至る。専門はシステム工学,ヒューマン・インタフェース,バーチャル・リアリティ。主な著書に「バーチャル・リアリティ」(産業図書)。総務省情報化月間推進会議議長表彰,東京テクノフォーラムゴールドメダル賞,大川出版賞,など受賞。日本バーチャルリアリティ学会会長,日本機械学会フェロー,産業技術総合研究所研究コーディネータ,情報通信研究機構プログラムコーディネータ等を歴任。

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