セミナーレポート

VR2.0の世界 -AR/VR技術の現在過去未来東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 廣瀬 通孝

本記事は、ビジュアルメディアExpo2018にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

VR技術のいま

 「バーチャルリアリティ(VR)」とは,コンピューターの作り出した空間に入り込み,そこでいろいろな体験をしようという技術です。VRが社会に登場したのは1989年で,ルーツは宇宙航空技術です。VRには3つの構成要素があります。1つ目は,非常に高い臨場感で映像を投影する技術としてのディスプレイシステム。2つ目は,目の前にあるリアルな映像を自由にいろいろな方向から眺めたりできる入力システム。3つ目は,物を取って手を放すと物が落ちるように物理法則にかなうシミュレーションシステムです。この3つの要素が密接にリンクし,円滑なインタラクションのループを作っているのがVRで一番重要なところです。
 ARについても触れておきましょう。ARとVRはどう違うのかとよく聞かれます。VRは映像空間の中に入り込む技術で,今ここに居ながらにしてニューヨークや火星の表面が体験できる技術です。それに対して,ARは見えている現実の世界にテレビのスーパーインポーズのようにバーチャルなものを重ね合わせる技術です。つまり,ARは現実の場所に出て行かなくてはなりません。ですから,ARはモバイルやウェアラブルを吸収し,屋外型へのシステムへと進化していきました。VRはいわば単なる映像の世界ですが,ARはあらゆる産業に関わるため,投資効果はARのほうがはるかに大きいと言われているのはこういう理由によります。
 最初のVRから30年近くが経過し,VR技術は第2世代に突入しつつあります。技術の世代交代が進み,驚異的な高性能化低廉化が進んだほか,当時存在していなかった周辺技術も充実しつつあります。ですから,周りの技術的な環境が決定的に違っているのを理解することが重要です。われわれ第1世代の頃は,インターネットはありませんでした。最近は,ヘッドマウントディスプレイも,ソニーのPlayStationVR,マイクロソフトのHololens,iPhoneX+ARKitなど,廉価で手に入るようになっています。また,映像を作るためのGPUも充実し,指数関数的に性能が上がっています。

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東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 廣瀬 通孝

1982年3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。同年東京大学工学部講師,1983年 東京大学工学部助教授,1999年 東京大学大学院工学系研究科教授,東京大学先端科学技術研究センター教授,2006年 東京大学大学院情報理工学系研究科教授,現在に至る。専門はシステム工学,ヒューマン・インタフェース,バーチャル・リアリティ。主な著書に「バーチャル・リアリティ」(産業図書)。総務省情報化月間推進会議議長表彰,東京テクノフォーラムゴールドメダル賞,大川出版賞,など受賞。日本バーチャルリアリティ学会会長,日本機械学会フェロー,産業技術総合研究所研究コーディネータ,情報通信研究機構プログラムコーディネータ等を歴任。

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