セミナーレポート

行動解析技術の最前線NEC バイオメトリクス研究所 研究マネージャー 西村 祥治

本記事は、国際画像機器展2021にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

群衆の行動分析

 群衆の行動解析は,これまで述べてきたような一人ひとりの動きに着目するよりは,人の塊としてどのような状態にあるかという点から,行動を理解するものです。
 群衆解析技術は,群衆(人の塊)として行動を区別する技術で,それによって次のことがわかります。まず,異常に密度が高い「異常混雑」の状態です。このような状態では将棋倒しなどが起きる可能性が高まります。速い流れが急発生し,方向が分散し,蜘蛛の子を散らすように人が走って逃げていく場合には「パニック行動」が予想されます。流れがなく,密度が高い,向きが内側である「取り囲み行動」では,中心に倒れている人,もしくはケンカをしている人がいる場合が予想されます。取り囲みでは内部は映像には映らないかもしれませんが,何かが起こっていることは想像できます。また,枝分かれしたような分散した流れが発生する「回避行動」が見られた場合には,そこに何か危険物などが置かれているのではないかと予想できます。
 これは,直接人の行動を知ることにも応用できますし,周りの状況から何が起きているかはわからなくても,異常を検知することに活用できます。これらの群衆行動解析技術では,人同士の重なりが起きても(混雑状況下でも),人の密度(人数),向きを推定できることが実現のカギになります。
 群衆行動解析技術には,映像中に映った人物を推定する技術としての「人数推定」があります。防犯カメラの映像では遠くの群衆が小さくなるため,その場合でも人数を正確に推定できる技術が求められます。また,群衆が動いている方向を推定する技術として「人流推定」があります。群衆が手前に流れてきているのか,奥に向かっているのか,動いている方向を検知します。これらの例として「異常疾走」があります。例えば,ナイフを持った人物が現れたときに,群衆が一斉に走り出すといった急な変化を検知します。
 社会の中に生きる私たちにとって,人の集団を対象とした群衆の行動解析は重要性が高く,まだまだ可能性も広がっていると考えています。

NEC バイオメトリクス研究所 研究マネージャー 西村 祥治

2000年京都大学大学院情報学研究科修士修了,2017年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了,工学博士。2000年にNEC入社,HPC,データベース,画像認識,映像検索の研究開発に従事。2011年米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員。2019年情報処理学会業績賞受賞。

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