セミナーレポート

行動解析技術の最前線NEC バイオメトリクス研究所 研究マネージャー 西村 祥治

本記事は、国際画像機器展2021にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

出現・動線に着目した行動解析

 個人の行動解析では,その動作に着目し,骨格の形状を分析する手法が取られています。そこでは,骨格情報をどう解釈し,活用するかが応用上のポイントで,各社の工夫が活かされています。
 個人の行動解析のうち,人の出現や移動に着目した技術について紹介します。出現パターン分析というのは,ある人物が,いつ,どこに現れたかのパターンの違いに着目して行動を区別するものです。例えば,来店パターンとして,週末だけ来る,毎日来るという出現の違いに着目して,その人の行動を解析していきます。また,動線分析とは,ある人物の画面上での移動軌跡の違いに着目して,行動を区別するものです。例えば,一定の場所で徘徊していたり,長い時間立ち止まっている人を見つけ出すのを可能にします。
 出現パターン分析としては,一帯をうろつき,何度も映像に映り込んでいる人物を頻度でランキングし,頻出する人物を発見するという活用があります。NECでは,画像を対象としたデータマイニング技術として捉え,「時空間データ横断プロファイリング」として発表しています。これは,様々な場所(空間)に設置されたカメラに,いつ(時間)映ったかを人物(顔)ごとに集計分析する技術です。画像解析だけでなく,データベース的な分析を組み合わせることで,新たなアプリケーションが広がっていく例でもあります。
 次に,動線分類です。人物追跡により得られた動線から,行動の種別を分類するのが動線分類です。単位時間当たりの動きの大きさを測ることで,行動の違いを区別します。動き変動の度合いが高い場合は動いている,低い場合は止まっているのがわかります。また,継続時間が長い場合は,画面内に長くいる,短い場合は画面からすぐ消えることがわかります。単位時間当たりの動きの激しさを分析することで,「通り抜け」「立ち止まり」「うろつき」などが分類できます。

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NEC バイオメトリクス研究所 研究マネージャー 西村 祥治

2000年京都大学大学院情報学研究科修士修了,2017年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了,工学博士。2000年にNEC入社,HPC,データベース,画像認識,映像検索の研究開発に従事。2011年米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員。2019年情報処理学会業績賞受賞。

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