セミナーレポート
高精細映像とAIで進化する警備サービスALSOK セキュリティ科学研究所 桑原 英治
本記事は、国際画像機器展2018にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
多様化・拡大する安全・安心サービス
高精細カメラ,AI,5Gを活用した取り組みとして,都市空間セキュリティ(広域監視)の実現を目指し,総務省の「5G総合実証実験」に参画しています。鳥の目のような高所からのカメラの監視や, 自動車やドローンによる魚の目の監視とともに,虫の目のような地上の監視を組み合わせ,「現代版火の見やぐら」として1年間実証実験を行いました。スカイツリーの340 mの位置に4Kカメラを設置し,AIにより火災や暴走車などを検知する試みを進めています。当社では,セキュリティ事業を中核として,ファシリティ,介護関連をはじめ,官民インフラの老朽化,自然災害,国土保全,地域生活の見守り,インバウンド,大規模イベントなど,安心安全ニーズの拡大に対応しています。社会インフラの老朽化に対応する「監視」と「点検」ソリューションとしては,自社の2400か所の拠点を活用し,自治体におけるトンネルの異常警報遠隔監視やダム設備機器監視,ドローンによるメガソーラー監視などがあります。また,日常の車両走行の中で,スマートフォンと車載カメラにより路面の劣化状態を収集・分析し,自治体での維持管理の支援を行っています。さらに,自然環境の変化と災害への対応として,ICT技術を駆使し,火山災害の監視や,鉄道高架下道路の監視,浸水の監視,浸水対策などを支援しています。ドローンの活用としては,無線の場合,電池の消耗があるため長時間使えない欠点を払拭する有線ドローンを導入しています。最大連続8時間稼働を実現し,火災現場の上空からの確認をはじめ,石油コンビナートでの点検などに活用しています。交通誘導に関してもAIを活用し,交通誘導員を5人から2人に削減するなど省人化するため,全国の県警で導入を進めています。
日本は社会課題大国だと言われています。テロ,大規模イベント,ソフトターゲットなどの安全保障,少子高齢化,インバウンド,防災減災など,いろいろな課題があります。これらを解決するためには,異業種連携,産学官連携によるオープンイノベーションが欠かせません。当社でも先ほどの総務省の「5G総合実証実験」をはじめ,NEDO委託事業「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」や,異常音検出AI技術を用いたNEDOプロジェクト「AIシステム共同開発支援事業」への参画を進めています。オープンイノベーションによりサービスを革新し,社会価値の創造に貢献していければと考えています。
ALSOK セキュリティ科学研究所 桑原 英治
1982年,日本電信電話公社入社,1992年,ジュネーブ海外事務所にて海外ビジネスに従事。2002年,NTT-ME次世代ネットワーク事業部長として通信ビジネスに従事。2005年より東日本電信電話㈱ ビジネスソリューション部長,NTTコミュニケーションズ㈱法人事業本部第四法人営業本部長として,法人ビジネスに従事。2011年,綜合警備保障㈱執行役員商品サービス企画部長。2018年より同社 セキュリティ科学研究所長として警備ビジネスに従事。現在に至る。